キーコーヒーの上期(3月期)の決算は、原料用に次いで業務用の売上が大幅に拡大したことが牽引して増収増益で着地した。
業務用は、多方面で営業を強化した点が奏功したとみられる。
デジタルツールの導入やWEBの活用による業務改善に取り組み、製品面では「トアルコ トラジャ」や「氷温熟成コーヒー」など付加価値製品を前面に押し出した。
下期に向けては、新たにニュージーランド産のコーヒーシロップ「SHOTT(ショット)」を導入するなど業務用の取り扱いアイテムも拡充した。
業務用事業として提案している、さまざまな業種・立地条件に出店可能なパッケージカフェ「KEY‘s CAFÉ(キーズカフェ)」では引き続き地域振興に貢献すべく展開。
上期は、復興産業拠点として4月に開業した福島県双葉町の複合施設などに出店し、地域の素材を使ったメニューを販売している。「キーズカフェ」は9月末現在で71店舖に上る。
家庭用は上期、昨秋の店頭価格引き上げもある中、3%増となった。
家庭用の下期は、売上ナンバーワンのブランド「PREMIUM STAGE(プレミアムステージ)」をリブランディングした「KEY DOORS+(キードアーズプラス)」ブランドや「トアルコ トラジャ」ブランドに注力していく。
「キードアーズプラス」では若年層を中心にブランドの認知拡大を目指す。
ブランドアンバサダーを起用し、フォトグラファーのヨシダナギさん、イラストレーターの渡邉香織さん、書道家の青柳美扇さんの3人を発表した。
11月14日決算説明会に臨んだ柴田裕社長は、コミュニケーションの狙いについて「品質のよさだけでなく、生活者との共感を重視している。アンバサダーの方々の姿に共感していただくことで、ブランドをより成長させていきたい」と述べる。
そのほか“キートラック”と呼ばれるラッピングトラックによる販売促進活動や各展示会への出展で積極的にブランドを発信。家庭用の営業力強化を図るべく、若手社員を中心としたスキルアップ研修も実施している。
「トアルコ トラジャ」は、ファンコミュニティサイト「Coffee Fan Club」で15人のアンバサダーが就任。「『トアルコ トラジャ』の魅力を当社とともに発信する」。
コーヒー市場については三極化の動きを指摘する。
「完全に買い控えてしまう方、価格が安ければたくさん購入する方、共感できるような価値を見つけて買われる方、と三極化がみられるものの、はっきり決めつけるのではなく、様々なニーズに対して需要を喚起していきたい」と意欲をのぞかせる。
キーコーヒーの上期業績は、売上高23.7%増の374億8000万円、営業利益102.5%増の10億4100万円、経常利益80%増の11億2100万円。
主力のコーヒー関連事業の売上高は、25.8%増の332億900万円。
その内訳は、業務用22.7%増の107億9400万円(コーヒー関連事業売上構成比32.5%)、家庭用3%増の96億8300万円(同29.2%)、原料用58.8%増の120億2100万円(同36.2%)、OSC自販機他10.6%増の7億1000万円。