「日東紅茶」がコーヒー初参入 砂糖不使用のラテ市場に新風  2つの素材を抽出する「ミルクとけだすティーバッグ」の技術を応用

 この秋冬、砂糖不使用のラテ市場に新風が吹く可能性が浮上――。

 三井農林の「日東紅茶」ブランドが2つの素材を同時にティーバッグへ充填する「ミルクとけだすティーバッグ」の技術を応用してコーヒー市場に初参入した。

 8月28日に「日東紅茶 ミルクとけだす珈琲バッグ カフェラテ」(4袋入)「同キャラメルラテ」(4袋入)の2品を新発売して砂糖不使用のラテ市場に挑む。

 「ミルクとけだす珈琲バッグ」は、ティーバッグと同様の仕様で珈琲バッグの中にレギュラーコーヒーとミルクを入れたもの。2つの素材が同時に抽出・浸出れることで、ミルクを用意することなくどこでも簡単に無糖ラテが楽しめるようになっている。

 2021年に発売開始した「ミルクとけだすティーバッグ」シリーズの好調を受けて発売に至ったが、構想は「ミルクとけだすティーバッグ」の開発時から練られていた。

「ミルクとけだす珈琲バッグ」のティーバッグ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ミルクとけだす珈琲バッグ」のティーバッグ

 その理由は、ティーバッグの新製造ラインにある。

 新製造ラインについて、取材に応じた竹田一也企画本部 商品企画・マーケティング部部長は「本来物性の異なる茶葉やミルクなどの素材は均一に混ぜ均等な香味に仕上げることが難しいが、原料投入口に工夫を施して異なる原材料を正確な配合で同時充填することを可能としている」と説明する。

 新製造ラインが編み出された時点で、まずは王道として茶葉とミルクを組み合わせた「ミルクとけだすティーバッグ」の開発が進められる一方、「組み合わせは無限にあることが分かり、紅茶やお茶に留まらずコーヒーやココアなどの嗜好品を広くカバーできる総合カフェブランドにしていきたいと考えていた」という。

 ただし、コーヒー参入にあたっては大手・中小企業含めて競争が激化していることから、社内からは心配の声も上がった。これを払しょくし参入の背中を押したのが「ミルクとけだすティーバッグ」の販売好調とSNS分析結果となる。

 紅茶全般の主要購買層は40代以上の中高年層とされる。これに対して「ミルクとけだすティーバッグ」はZ世代の関心が中心となっていることがSNS分析結果で判明した。

 実際の購買データでも「日東紅茶」の定番商品のティーバッグと比べても30⁻49歳の層が厚く、50歳以上の層が薄くなっている。

 レギュラーコーヒーも全般的にユーザーが高齢化していることから「ミルクとけだす珈琲バッグ」では若年層の開拓に商機を見出す。

 開発は、コーヒーの専門家からの協力も得ながら試行錯誤を重ねて進められた。
 「紅茶メーカーが初めて出すコーヒーということで豆にもこだわり、香りのよいアラビカ種をメインに様々なブレンドを試行錯誤、最終的にはミルクに負けないコーヒーのコク・ボディ感を具備した配合にした」と語る。

 「ミルクとけだす珈琲バッグ」の「カフェラテ」と「キャラメルラテ」の2品はともに砂糖不使用のラテ市場に向けたものとなる。

三井農林の竹田一也企画本部 商品企画・マーケティング部部長(右)、企画本部商品企画・マーケティング部商品企画室の宮尾浩司氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
三井農林の竹田一也企画本部 商品企画・マーケティング部部長(右)、企画本部商品企画・マーケティング部商品企画室の宮尾浩司氏

 開発を担当した企画本部商品企画・マーケティング部商品企画室の宮尾浩司氏は「インターネット調査によると、コーヒーユーザーの半数がミルクや砂糖を入れて飲まれていることが分かった。その中で、大手飲料メーカー様からも砂糖不使用の商品や無糖に近いラテの飲料(RTD)が続々と発売され、砂糖を使用しないカフェラテ・カフェオレ市場が今後拡大していくと考えた」と述べる。

 開発にあたっては、ミルクとコーヒーのバランスに苦労。試作を何度も繰り返し「ラテ飲用者だけでなく、ブラックコーヒーをよく飲まれる方にもご支持いただけるようにした」。

 また、販売促進では「商品を体験いただくこと」がポイントと考え、店頭でのサンプリング、マネキンによる試飲など、「1人でも多くのお客様に商品を体験いただける機会を増やしていきたい」と語る。

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