カルビー「じゃがりこ」などの原料供給を支える巨大じゃがいも貯蔵庫とは?

カルビーの「ポテトチップス」や「じゃがりこ」の主原料であるじゃがいもの品種開発や栽培などを手掛けるカルビーポテト社(本社:北海道帯広市)は、フィールドマンと称する同社社員と契約生産者が二人三脚でじゃがいもの生産に取り組んでいる。

日本の穀倉地帯である北海道・十勝平野にある4つの支所のうち帯広市にある川西支所には、隣町の芽室町にある芽室支所と毎年収穫量1位を競いあう巨大じゃがいも貯蔵施設を持つ。

貯蔵施設の正式名称は帯広市川西農協・加工馬鈴薯集出荷貯蔵施設。ここでカルビー契約農家が収穫したじゃがいもの集荷・貯蔵・出荷を手掛けている。貯蔵能力は約4万トン。

コンテナ貯蔵庫(帯広市川西農協・加工馬鈴薯集出荷貯蔵施設) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
コンテナ貯蔵庫(帯広市川西農協・加工馬鈴薯集出荷貯蔵施設)

貯蔵庫は全7棟(42室)あり、じゃがいもをコンテナに入れて貯蔵するコンテナ貯蔵庫と、じゃがいもをそのまま貯蔵するバラ貯蔵庫に大別される。

それぞれに特徴があり、バラ貯蔵庫では一室に最大1200トンの大量のじゃがいもの貯蔵が可能。

一方、コンテナ貯蔵庫は各生産者のじゃがいもコンテナで貯蔵しているためトレーサビリティを可能にしているほか、エチレンガスでじゃがいもの発芽を抑えることで収穫後最長で1年程度貯蔵できるようになっている。

川西町の畑で「じゃがいも収穫式」が開催された9月11日には、大量のじゃがいもがトレーラーからコンベアでバラ貯蔵庫に運ばれていた。
 

トレーラーから貯蔵棟に運ばれ(左)、貯蔵棟からバラ貯蔵庫に運ばれるじゃがいも - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
トレーラーから貯蔵棟に運ばれ(左)、貯蔵棟からバラ貯蔵庫に運ばれるじゃがいも

この日、取材に応じたカルビーポテト社川西支所の岡村康支所長は「高精度なコンベアで大量のじゃがいもを効率的に卸すことができる。画像選別機で土塊などを取り除いてから、いったん貯蔵した後、出荷の際に人の手で選別して工場に納品している」と述べる。

貯蔵施設から目と鼻の先にはカルビー帯広工場があり、帯広工場に出荷したものに関しては「多くは『じゃがりこ』に使用される予定になっている」。

出荷量は多い時期で400トン以上に上る。トレーラー1台あたりの積載量は20トン程度。1日に20台以上のトレーラーがここから帯広工場や他の工場に向かう。

取材時、バラ貯蔵庫にはじゃがいもが高さ4.5mまでうずたかく積み上げられていた。

貯蔵施設内にあるバラ貯蔵庫外観 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
貯蔵施設内にあるバラ貯蔵庫外観

じゃがいもは照射により緑色に変色することから暗室となっており、土の中のような環境が再現されている。

「収穫されたばかりのじゃがいもは呼吸をしており、これだけ大量にあるとCO2の濃度が上がってしまいため、自動的にフレッシュな空気を取り込みCO2の濃度や湿度。温度をコントロールしながら、じゃがいもにとってストレスのない環境を整えている」と説明する。

糖度など品質管理も徹底している。

じゃがいものコンテナを積載して出荷準備するトレーラー。正面にはカルビー帯広工場 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
じゃがいものコンテナを積載して出荷準備するトレーラー。正面にはカルビー帯広工場

積み上げられた“じゃがいもの海”の上を歩くための足場用板と直接じゃがいもを踏まないためのじゃがいも用“かんじき”を使って、フィールドマンが週に1回程度、サンプルを収集して糖分やでんぷん質を測定している。

「生食用は糖分が高いと甘くておいしくなるが、加工用は糖分が高すぎると焦げてしまう性質がある。冷やしすぎると糖分が上がり、ゆっくり冷やしていかないといけない。機械でコントロールしているが、実物も測定することで出荷の際の品質を維持している」と語る。

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