「変化には適切、俊敏に対応」 製粉協会新会長・宮原朋宏氏が抱負

製粉協会の会長に就任した宮原朋宏氏(日東富士製粉社長)は、次のように抱負を語った。

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新型コロナウイルス感染症の国内での位置付けが5類に移行し、社会・経済活動の多くがコロナ前の状況に戻りつつある。一方、ロシアのウクライナ侵攻が長期化したことにより、食料、エネルギー価格の高騰を招き、物価高が続いている。世界的に見ても金融引き締めによる影響や、中国経済の先行き懸念など、世の中は不透明な状況にある。

こうした中、製粉協会の会長に就任することになり大変身の引き締まる思いだ。業界の使命は、日本の食文化・食生活において主食として極めて重要な役割を果たす小麦粉を安定的に供給すること。ここ数年はコロナ禍による需要の増減や穀物相場急騰、国による物価高騰対策など、業界にとって過去に経験したことのない動きがあった。当協会ではこれまで会長を中心に業界の意見を集約し関係当局と連携の上で対応しており、安定供給という重要な使命を果たすことができた。私個人も事務局の皆さまの意見をうかがいながら適切に対応し、製粉産業・小麦粉関連業界が将来にわたり健全な成長を続け、明るい展望が開けるよう1年間大役を務めたい。

新型コロナウイルスやウクライナ情勢を受けて、わが国でも食料安全保障に対する関心が高まった。国としても食料安保の強化を基本方針の一つに掲げている。原料小麦は80%以上を輸入に頼っている。輸入小麦の安定調達が大変重要になる。国家貿易を行っている農水省の皆さまと十分に連携し、輸出国との関係強化、さらには情報収集に注力する必要がある。

調達先の多元化についても引き続きの課題。わが国では主要5銘柄を中心に高品質な小麦を輸入している。当協会では農水省とともに様々な国の小麦を調査研究しているが、今後も継続的に多元化の研究を進めていく。

国内麦は民間流通制度の定着や品種改良、栽培技術の向上などから、二次加工メーカーや流通業から品質に対する評価が高まっている。しかし、生産量や品質は生産年や地域により不安定であるのも事実だ。食料安保の観点からも国内麦の生産拡大が求められている。国内麦の生産拡大については、栽培地域が限られていることから簡単なものではないと理解しているが、量と質の安定は国内麦消費の定着や拡大にとっては極めて重要。当協会も生産者と協力して取り組みを進めたい。

「2024年物流問題」は国内の様々な産業にとって共通した課題だ。当業界にとっても運転手確保と物流効率化が求められる。大口から小口まで様々なお客様がいるが、お客様の理解を得ながら納品までのリードタイムや時間指定の緩和、パレットの活用、待ち時間の短縮に取り組む必要がある。

業界における人材確保については各社が対応する事象ではあるが、一般的には雇用延長、育児・介護と仕事の両立、リモートワークの活用、ダイバーシティ、キャリア採用で補うことが必要となるだろう。新卒採用も入社後の定着を図るために各社の企業理念に合った人材確保が重要になる。生産現場における労働力確保は年々難しくなっており、作業の自動化やDX活用にも取り組まなければならない。

国内外の環境や社会・経済活動のあり方は予測不可能で激しさを増している。これらの変化に対して俊敏に対応すべきだと考える。

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