チルド麺の菊水 北海道の「味力」世界に 連携プレー活かし拡販へ 春名公喜社長に聞く

長年にわたり社長を務めた杉野邦彦会長よりバトンを引き継ぎ、6月13日に就任した。企業理念を「北海道の“味力(みりょく)”を日本全国へ、そしてアジアから世界へ」に広げ、海外輸出を強化して世界へと販路拡大を目指す。菊水の強みや北海道ブランドを活かした商品を充実させるとともに、新たな事業領域にもチャレンジする。

伊藤ハム米久ホールディングスにてグループ商品のマーケティングに携わった経験があり、菊水に対する思いも強い。「今回麺に特化できるようになって嬉しく思う。強みがたくさんある会社なのに、まだまだ活かせていない部分があり、世界に向けて麺を届けるために取り組んで、当社が一段と成長する機会にしたい。そこに自身の経験を活かし貢献できれば」と抱負を語る。

菊水の強みについて、「一つは美味しい麺と、調理麺工場を活かしたメニューづくり。二つ目は北海道の恵みを活かしたブランド。三つ目は、各地域(東北、関東、中部、関西、九州)にプロセスセンターを持ち、北海道から沖縄まで商品供給が可能なこと」と話す。

伊藤ハム米久HDとの連携プレーにより、販路が広いのも強みだ。道外は基本的に伊藤ハムの物流網を使い、この秋からはさらに米久の販路も活用する。米久は鍋具材が得意な企業であり、菊水では秋の新製品に鍋用の麺を投入するなど、チルド麺売場以外に提案できる商品を拡充した。

9月から社内のビジネスプロセスを変革して、新たに品質保証室や営業企画部を設置したほか、生活者視点のものづくりを実現するために、マーケティング戦略から商品開発まで一元化できる組織を作りスピード感を高めた。次世代メンバーを登用した積極的な人事改革も導入している。

中長期ビジョンには「地球」「生活者」「従業員」「地域」に対する、“4つのやさしいモノづくり”の実現を掲げる。

「地球にやさしいモノづくり」として、日本一の小麦やそばの産地である北海道の地の利を活かしたフードマイレージの低減と、自給率の向上。ロングライフ商品や、生ラーメンを低温乾燥した寒干製法の品揃えを拡大することでフードロス削減に努める。

「生活者」には、野菜やたんぱく質を一緒に美味しく摂取することができる麺料理を提案して「摂る健康」を推進する。「従業員」には、製造自動化やDXを進め、生産効率化と労働環境改善を図る。「地域」の恵みを活かし、北海道ブランドを世界へと発信することで、認知向上と魅力向上に取り組む。

同社が守ってきた社是「信頼と創造」を未来につなげるために、さらなる挑戦と成長を目指す。

【略歴】1962年1月生まれ。兵庫県宍粟市出身。84年3月に兵庫県立神戸商科大学(現兵庫県立大学)経営学科卒業。84年伊藤ハム(株)入社、執行役員加工食品事業本部フードサービス営業本部長、同 事業戦略統括部部長兼マーケティング部部長兼物流担当、伊藤ハム米久ホールディングス(株)執行役員加工食品事業本部事業戦略統括部部長を経て、23年(株)菊水入社・顧問に就任、6月より現職。

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