関東大震災から100年 今年を災害対策の出発年に! 防災食売場を常設の動きも

今年は1923年(大正12年)に発生した関東大震災から100年目の節目の年にあたり、後に地震発生日の9月1日は「防災の日」と定められた。東京を中心にして関東全域に激震が襲い、10万人以上の死者が出た。これを契機に、今年を新たな災害対策の出発年にしようとする動きも出てきた。これを機会に防災食の需要増も期待されている。

大震災から100年。「防災食への生活者の意識変化」はどうか。近年は阪神・淡路大震災や東日本大震災など大地震が列島を襲い防災意識も高まりつつあるが、その意識はハザードマップや避難場所などに向けられ、防災食(備蓄食)までには及んでいない。自然災害への対応は、自分の身は自分で守る「自助」が全体の約3割と、「共助」「公助」を大きく上回っている(2022年12月内閣府調査)が、自助対策として日常食を消費しながら備蓄するローリングストックを言葉としては知られているものの実施している人は2割に満たない。

「防災食への流通変化」はどうか。頻発する自然災害の中で防災食のポテンシャルは大きいとされている。今までは、主に東日本大震災が起こった3月と、「防災の日」を中心とした9月だけ防災コーナーが開設されてきた。

しかし、ここにきて新たな動きも出ている。フェーズフリーの考え方のもと、災害時でも日常でも様々な場面(フェーズ)で自由(フリー)に使える考え方が防災食のコンセプトと一致。この考えのもとでスーパーやホームセンターが売場や品揃えを再考している。

「防災コーナーと決めつけるとお客様は少ない。一般食品売場に賞味期限が長い商品があってもいい」「賞味期限が長い商品は押入れにしまわれたり、期限直前まで食べず廃棄されるケースもある。備蓄もできるが日常でも食べられる提案」などの動きも出てきた。ホームセンターには防災食売場を常設する店もある。

この動きがスーパーにも広がれば防災食の認知は高まる。防災食専業メーカーもローリングストックを志向する食品メーカーとのコラボや、流通とともに「楽しめる売場づくり」で協働すれば、新たな需要が生まれるはずだ。

「防災食メーカーの変化」はどうか。防災食は自治体や企業、学校、病院など法人系に備蓄されて消費されるケースと、スーパーやホームセンター、ドラッグストア、ECなどで購入し自宅で消費する2通りがあり、流通形態(専業商社と加工食品卸)、消費場所(避難所と自宅)、商品形態(賞味期限約5年の備蓄商品と一般食品)が大きく異なるため、業界は複雑化している。

「防災食そのものの変化」はどうか。「防災食」は「非常食」「災害食」「備蓄食」など様々な言い方があるが、定義ははっきりしていない。定番だった乾パンの影は狭まり、お腹を満たすばかりではなく、栄養効率がよく、糖質に偏りがちな食事を考慮し、栄養バランスも大きなポイントだ。消費される場所でも、避難所と家庭では大きく異なる。

相変わらず備蓄食品とローリングストック食品が防災食の争点になっているが、売場を起点に共同販促やコラボレーションなどの補完関係も検討されており、ここでも流通の対応が焦点になりそうだ。

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