UCC上島珈琲は、夏休みの自由研究にも好適な参加無料の小学生向けセミナーを開催した。
コーヒーを通じたSDGs教育でUCCの社会的価値を高めていくのが狙い。
セミナーは、コーヒーが手元に届くまでの過程や生産国の地理的特性を学びながら地球温暖化などの社会課題に触れる内容になっている。
セミナー対象者は、小学校高学年(4年生から6年生)とその保護者。
7月21日、UCCコーヒーアカデミー東京校で開催されたセミナーには、小学生と保護者11組22人が参加した。
講師役を務めたのはUCCホールディングスサステナビリティ推進室の願能千瑛さん。
コーヒー豆について、実際に生豆や焙煎豆、粉砕後の焙煎豆に触れる機会を設け、生産・製造・流通過程を説明するところから始める。
途中、クイズをおりまぜ「1本の木から何杯分のコーヒーがとれる?」の問いについては、コーヒーノキの種類などにより差は出るとした上で約40杯を正解とした。
「1本の木からコーヒーチェリーが約3kg収穫できる。そこから赤い実を取り除いて約500gになり、さらに焙煎で水分がなくなることで約400gまで軽くなり、1杯10g換算で約40杯となる。コーヒーノキが苗から成木になるまで3~5年かかり、いかに貴重な飲み物であるということをご理解いただけると嬉しい」と願能さんは語りかける。
コーヒーの全体像を紹介した上で「コーヒーは将来飲めなくなってしまうかも!?」と題し、地球温暖化が続くと2050年にはアラビカ種コーヒーの栽培適地が15年比で50%にまで減少するといわれている「コーヒーの2050年問題」を共有する。
2050年問題の解決策については、地球温暖化への対応に加えて、全生産者の約8割を占めるとされる小規模農家の生計向上を挙げる。
UCCは生産国との協働として、JICA(国際協力機構)とともに「ベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト」に取り組んでいる。
UCCによると近年、エチオピアでは急激な人口増や森林伐採などで森林地帯が国土の35%から11%程度まで減少して危機的状況にある。
JICAは森林生態系保全のため2003年に同プロジェクトを立ち上げ、UCCはJICAからの依頼を受けて11年から現地で技術指導に当たっている。
森林保全と生産者が収入を得られることの両方を紐付けて、UCC上島珈琲の農事調査室の専門部隊が深く関わり、ベレテ・ゲラ保護区の年間森林減少率の改善や農家の収入改善に寄与している。これに伴いコーヒー生産量も増加しているという。
セミナーでは同プロジェクトの概略に触れ、ベレテ・ゲラ豆にブラジル豆をブレンドしたものを「コーヒーとSDGs for キッズ」セミナーオリジナルブレンド(60g)としてプレゼントした。
ルワンダでの取り組みも紹介する。
UCCは2012年にコーヒーが主要産業であるルワンダのフイエ郡ソブ村におけるJICA(国際協力機構)の一村一品運動に参画して以降、10年以上継続して農園開拓から品質向上まで生産支援や農事指導を実施している
土壌改良から始めてシェイドツリーなどコーヒーノキの生育・選定技術を取り入れてもらうための指導や品質向上のための加工技術など他の地域で有望な技術を導入したところ、もともとおいしいコーヒーがさらに磨かれ現地の収入も増加しているという。
ルワンダ農村部での水の供給にも貢献。
UCC製品の売上げの一部で、地下水を使った水を約2万世帯(12万人)に届けるための水場(みずば)を設備した。
セミナーは、8月3日(神戸校)と8月7日(東京校)にも開催される。オンラインセミナーも実施し、8月9日と8月22日に実施される。
セミナー開催は、UCCホールディングスが制定した「UCCサステナビリティ指針」の一環。
「2040年までにカーボンニュートラルの実現」や「2030年までに自社ブランド製品を100%サステナブルなコーヒー調達にすること」などのグローバル目標とともに「2030年までに健康・教育分野で社会に大きなインパクトを」も目標に掲げ、30年までに累計30万人のサステナビリティ教育受講者数を目指している。
UCCグループでは、これまで5000人以上の小学生から大学生を対象にコーヒーを通じてSDGsを考えるオンラインセミナーを実施。今回のセミナーは過去のオンラインセミナーの知見を活かして組み立てられた。