ゼリー飲料「inゼリー」過去最高の売上げ  商品施策が奏功しコロナ禍の体調管理ニーズの高まりが後押し  森永製菓

 ゼリー飲料市場のトップブランド「inゼリー」(森永製菓)が好調に推移し、前期(3月期)売上高は前年比14%増となり過去最高を更新した。これにより「inバー」を含めたin事業の売上高は9.2%増の306億200万円となった。

 「inゼリー」は前期、商品施策が奏功したことに加えてコロナ禍の体調管理ニーズの高まりが追い風になり、昨年12月の価格改定以降も好調を維持。価格改定では「inゼリー」10品の税別希望小売価格が一律10円引き上げられた。

 アイテム別ではラムネ味の「エネルギーブドウ糖」の伸びがブランドの成長を牽引した。

 取材に応じた足立剛康菓子食品営業部健康営業グループマネジャーは「考えるためのエネルギーといったところで新しい需要が生まれてきていると感じている。販売推移をみてみると、受験シーズンでの上昇が顕著にみられ、勉強や仕事といった思考力を要するシーンでの飲用が定着している」と説明する。

森永製菓の足立剛康菓子食品営業部健康営業グループマネジャー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
森永製菓の足立剛康菓子食品営業部健康営業グループマネジャー

 「エネルギーブドウ糖」は当初、コンビニのみで販売。2020年秋に全販売チャネルに拡大した。これにより間口(飲用層)が広がりをみせている。

 「当社では『森永ラムネ』で数年前から思考力を要するシーンでのエネルギー補給として広めてきている。『エネルギーブドウ糖』では戦略としてラムネという打ち出し方はしていないが、ラムネ味のため、ラムネと親和性のあるアイテムとして学生など若い方に支持され、どんどん拡大している」と振り返る。

 今期は、体調管理ニーズの高まりで拡大した前期の反動減を想定し、仕事や勉強といった集中のシーンやアフターコロナ向かい回復傾向にあるスポーツシーンなどに着目してマーケティング活動を展開している。

 「コロナ禍でお客様の生活が物凄く変わってしまった。朝食需要は一度下がってしまったが、直近では戻りつつある。テレワークがどこまで浸透するかなどさらなる変化を見極めていきたい」と語る。

 体調管理ニーズで獲得した新規ユーザーにも期待を寄せる。
 「体調管理ニーズの高まりによって生活者との接点を拡大させることができた。コロナ禍で初めて飲用して下さった方にリピート購入いただけるかが今後の課題」と述べる。

 これらの見方を踏まえて、コロナ禍による行動の変化への対応として、タイパ(タイムパフォーマンス)重視による朝食と昼食の簡便化やスポーツシーンに注視する。

「フルーツ食感」の「もも」(右)と「メロン」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「フルーツ食感」の「もも」(右)と「メロン」

 一方、普遍的な行動への対応としては仕事・勉強のシーンや女性を中心とする健康的な間食ニーズにフォーカスする。

 食の簡便化ニーズに対しては「今まである需要を掘り起こしていく。たとえば『マルチミネラル』は女性の鉄分不足解消をサポートするという点で支持され、非常に好調に推移しており、このようなことを深耕していきたい」と述べる。

 スポーツシーンではランニングシーンでの訴求を引き続き強化していく。

 仕事・勉強のシーンに向けては、来年の受験シーズンを山場に「エネルギーブドウ糖」の需要喚起策をさまざまなアプローチで検討していく。

 女性を中心とする健康的な間食ニーズを取り込むべく「フルーツ食感」も強化していく。

「フルーツ食感」は、ゼリー飲料で“罪悪感の少ないヘルシーな間食”としてのニーズが高まっているとの同社調査を受けて2021年に立ち上げられたもの。

 昨年、「もも」と「マンゴー」の品揃えを「もも」と「梨」に変更するとともに果実のシズル感を強めて刷新したところ、狙い通りターゲットの女性層を多く獲得して前期売上げは前々期比約4倍に跳ね上がった。

 前期に飲用層獲得で一定の成果が得られたことから、今期は次のステージとして奥行き(飲用頻度)拡大を図るべく「フルーツ食感」に磨きをかけた。

 3月22日、「もも」に1食分のマルチビタミンを追加した品質にリニューアル発売したほか、「梨」との差し替えで1食分のマルチビタミンを配合した「メロン」を新発売した。

 夏場に向けては「エネルギーフローズン」や「エネルギーレモン」の「熱中症予防声かけプロジェクト」商品にも期待を寄せる。

 「エネルギーフローズン」は“冷凍なのにゼリー食感でおいしく暑さ対策”を謳った商品。常温で販売して家庭の冷蔵庫で冷やしてもらう形で提案しスーパー・量販店に導入を拡大して販売している。

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