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九州エリア百貨店 各店とも回復傾向 一層の改善目指すも不透明感

九州エリアの主要百貨店5社の前期決算が出揃った。福岡市の岩田屋三越の2023年3月期は売上高が前期比8.8%増の360億7千300万円(旧会計基準で14.2%増の1千96億3千600万円)、経常利益約4.3倍の28億6千500万円、当期純利益約6.4倍の19億9千500万円で着地した。

同社ではこれまで催事は外部委託していたが、自社で対応するなどコスト削減に力を入れてきた。またコロナ禍による影響が緩和してきたことによる増収効果も表れてきている。インバウンド需要も回復基調にあり追い風となっているため、今期は富裕層向けの取り組み強化策を推し進める。2024年3月期は売上高が前期比2.6%増の370億1千700万円(旧会計基準で3.7%増の1千137億円)、経常利益10.9%増の31億7千700万円、当期純利益5.7%増の21億800万円を見込む。

福岡の北九州エリア、井筒屋の2023年2月期は売上高が225億7千300万円(旧会計基準で3.5%増の549億9千300万円)、経常利益は2.7%増の10億7千500万円と2期連続で増益。当期純利益は法人税の戻りがなくなり13.0%減の10億1千900万円。人員減や売場の縮小、委託経費を削減するなど販管費の抑制に努めてきたが、その影響で売上が伸び悩んでいる。今後も人員を減らす場合はさらなる縮小は避けられず、どのような対策を講じていくかが重要となる。2024年2月期は売上高が前期比0.1%増の226億円と横ばい。経常利益44.2%減の6億円、当期純利益41.1%減の6億円を予想。

大分のトキハ百貨店の2023年2月期は売上高が171億7千400万円(旧会計基準で6.7%増の520億2千800万円)、経常利益は2億3千700万円の赤字から5億3千900万円の黒字、当期純利益は7億300万円の赤字から1億円の黒字にそれぞれ転換した。今期は法人向けの外商を強化するとともに、テナントの売上構成比を高めながら不採算な売場を縮小して売場稼働率を高める。2024年2月期は売上高が前期比6.3%増の553億円、営業利益は4.5倍の2億9千万円を目指す。

熊本の鶴屋百貨店の2023年2月期は売上高が187億6千100万円(旧会計基準で6.2%増の454億7千600万円)、経常利益は2千600万円の赤字から2億5千300万円の黒字、当期純利益は1億3千900万円の赤字から4億800万円の黒字となった。人件費などを中心に販管費を圧縮したことや創業70周年企画を行ったことでの集客効果が加わった。なお、今期の業績予想は公表していないものの、台湾の半導体メーカーTSMCの熊本進出による県内への経済波及効果が期待されており、県内需要の喚起策を図っていく意向だ。

鹿児島の山形屋の2023年2月期は売上高が158億4千100万円(旧会計基準で4.2%増の367億1千400万円)となったが、経常赤字は5億4千100万円、当期赤字は特損を計上し7億9千800万円に拡大した。経常赤字は3期連続、最終赤字は6期連続となる。2024年2月期は売上高5.7%増の167億5千万円、経常利益3億8千万円を見込んでいる。人員削減による販管費抑制を推し進めているが、収益回復までには至らず経営環境は依然厳しい状況となっている。目標達成には遅れているコスト削減策を急ピッチで進めていく必要がある。

各百貨店ではおおむね売上が回復基調になってきたものの、好調をキープできるかは不透明な状況となっている。コロナの収束後も市場の縮小傾向は当面続くものと想定されるだけに、今後も各社が厳しい経営環境に直面する状況は続きそうだ。

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