スペシャルティコーヒー、広がりに打ち止め説 草分け的存在・丸山珈琲の生きる道

 スペシャルティコーヒーの草分け的存在の丸山珈琲は、スペシャルティコーヒーの訴求方法を川上(生産)重視から川下(消費)重視へと転換した。

 コーヒー豆や生産地・生産者にフォーカスした従来の訴求方法を改め、生活者のライフスタイルに寄り添ったコミュニケーションや商品開発を行っている。

 大手企業のアプローチ強化や専門店の増加で、スペシャルティコーヒーの訴求力が希薄化していることが背景。

 15日、新商品発表会で登壇した丸山健太郎社長は「2000年頃は、とにかくコーヒーにフォーカスしていれば業績に直結したが、今は業界全体で打ち止め感がある。実際に大手コーヒーチェーンなどではおいしいコーヒーが出されるようになる中で、我々・中小企業はもっと広い層に向かっていかなければならない」と語る。

 スペシャルティコーヒーのコアファンや業務用に向けては、従来通り生産地や生産者との絆を強化して品質を極める一方、家庭用での裾野拡大策としては、引き続きスペシャルティコーヒーを販売しつつ、スペシャルティコーヒーの打ち出しを抑えていく。

 多彩なアプローチで生活者とスペシャルティコーヒーとの接点を拡大し、まずは、おいしさに気づいてもらうことに注力していく。そこから深まることを見込むスペシャルティコーヒーへの興味関心には公式サイトなどで対応していく。

新商品の数々 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
新商品の数々

 今回発表した新商品は、贈答シーンに着目した「ドリップバッグ ありがとう やさしい飲みごこちの中深煎りブレンド」や北海道住民の嗜好にあわせた「ドリップバッグ 丸山珈琲の北海道ブレンド」、フードペアリングの提案となる「丸山珈琲オリジナル コーヒーバームクーヘン」などをラインアップ。

 贈答シーンについては「コーヒーは、自分で飲む量には限りがあり、お土産需要が物凄く高い。仮に貰い手がコーヒーを飲まれない場合でもご家族の方が飲まれるケースもある」と勝算を見込む。

 店舗のドリンクメニューも一新。「従来はプロの方に向けてワインリストのような、こだわったメニューだった。一定層には好評だったが、コーヒーはワインよりも小さいことから、わかりやすく改めた」と語る。

【写真】この春リニューアルオープンした「丸山珈琲西麻布店」の刷新メニュー