スーパー 節約で買上点数の減少が顕著 客数対策、再び強化

価格高騰で消費者の節約志向が強まり、スーパーでは買上点数の減少が顕著になっている。値上げにより一品単価は上昇したものの、大型店を除き客数は低迷したまま。落ち込んだ点数の回復とともに、これまで取り組んできた客数確保へ向けた施策が改めて重要な課題となっている。

オークワ(和歌山県)の大桑弘嗣社長は最近の消費動向について「一品単価が上がり続ける一方で、買上点数は100%に届かなくなった」と指摘する。コロナ禍以降の買上点数の推移をみると、内食需要が強まった20年度、同社では前年比4.9%と大幅に上昇。21年度はその反動で若干低下したものの、1%以内にとどまった。だが、昨年度は2.2%と減少幅が拡大。

これに対し一品単価は伸び続け、値上げラッシュの昨年度は3.8%増えた。それでも、客数が伸びておらず既存店売上をカバーするには至っていない。

「これまでは客数が減っても、点数を維持できていればそれほど不安視していなかった」(大桑社長)。つまり、コロナ禍で顧客の来店回数は減ったが、点数が変わらなければ売上が大きく落ちることはないという見方だ。だが、ここにきて購買点数の減少が顕著になり、「コロナ前と同様、客数の確保が再び重要になっている」(同)という。同社ではカードとアプリの連携を強め、固定客の囲い込みと新規会員の拡大に注力する方針を示す。

他のスーパーでも傾向は同じだ。平和堂(滋賀県)では前期、一品単価が前年比3.7%上昇した一方、買上点数は1.5%下がった。衣料品の回復などで既存店売上は前年を上回ったものの、客数は減少を続ける。

同社では、カード会員比率の低い滋賀県外や男性の募集を強化することで客数の増加を図る。さらに、手薄な30~40代の獲得へ向け「価格対応できる商品のラインアップを強化し新しいお客様を取り込むとともに、販促手段により買上点数を高めたい」(平松正嗣社長)としている。

イズミ(広島市)の前期も一品単価が3.9%上昇し、買上点数は2%下がった。ただ、大型店が回復したことで、客数は99.8%とほぼ前年並みを維持。

同社は今後、新店よりも既存店活性化への投資を増やす方針を示している。特に店舗年齢の高い中型店で客数が減少しているケースが多いため、大型店におけるテナント戦略などの成功事例を中型店に展開。山西大輔経営企画本部長は「活性化により新しい形を作り、客数を伸ばしていきたい」としている。