セブン&アイ、金融事業を再編 「7iD」活用して小売と金融を一体化

 セブン&アイ・ホールディングスは6日、連結子会社のセブン・フィナンシャルサービスが保有するセブン・カードサービスの全株式を連結子会社のセブン銀行に譲渡することを明らかにした。

 フィンテック企業の登場などによる金融サービスの多様化とそれに伴う顧客ニーズの多様化を受けた動き。

 銀行業務を営むセブン銀行とノンバンク業務を営むセブン・カードサービスを一本化することで、銀行・クレジットカード・電子マネーの一体運営を行い、より速やかにニーズへ対応していく。

 この日開催された決算発表会で井阪隆一社長は「両社がこれまで培ってきたノウハウや専門性を統合・拡充させつつ、グループ共通の会員基盤である『7iD』を活用して小売グループならではの新たな金融サービスを、スピード感を持って展開していく」と意欲をのぞかせる。

 国内随一の顧客基盤などを強みにしていく。

 グループ店舗の1日あたりの国内来店客数は約2220万人に上り、「7iD」会員数は2月末時点で約2800万人に上る。
 「15歳以上の国内総人口に占める『7iD』会員のシェアは全国で約25%。全国の20代・30代の女性の2人に1人が『7iD』会員となっている」という。

 今後、「7iD」とネットコンビニ「7NOW」との連携を深めていく。
 「今秋にはセブン‐イレブンアプリとイトーヨーカドーのネットスーパーサービスがシームレスにつながり『7iD』を通じて当社グループとお客様との接点はさらに大きく広がっていく」とみている。

 小売と金融の一体化にも取り組み相乗効果を発揮させる。
 「既に『セブンカード』や『nanaco』と『7iD』との紐付けは始まっているが、来年2月にはセブン銀行の口座とセブンiDを紐付けるサービスも開始する予定。今後は『7iD』で培ったお客様との関係をリテールメディア事業にも活用することで、お客様に対するきめ細かなご提案や商品開発につなげるとともにグループとしての収益拡大にもつなげていく」。

 一本化による具体的なサービス内容は今後詰める。
 「例えば『7iD』を用いたクレジットカードの申し込みや与信審査の簡略化、日常使いを前提とした誰でも作れて使えるカードのようなサービスを展開することも十分に可能と考えている」。

 そのほか、ポイント競争に陥らない取り組みとして、コンビニ・スーパーあわせた約2万2000店舗の顧客接点を活用した独自の特典も予定。 
 「ATMなどを活用して圧倒的に簡単スピーディなクレジットカードの申し込み・利用開始手続きも可能となる」と語る。

 加えて「セブンカード」や「nanaco」など自社決済比率を高めることで、他社に支払う決済手数料をマーケティング原資として活用することも見込む。

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