考え方を180度変えたイオンの新オンラインサービスとは? AIが推奨品をクリック1つでカートイン 接客も重視

 イオンは、100%子会社のイオンネクストが今夏始動する新オンラインサービスでイオングループの顧客基盤を拡充し、商品・サービスの提案の幅を広げていく。

 新オンラインサービスは「Green Beans(グリーンビーンズ)」と称し、2019年にイオンと提携した英オカド・グループとともにECでの新たな購買体験を提供していく。

 4日発表したイオンの吉田昭夫取締役代表執行役社長は「今後ますます拡大が見込まれるオンライン需要に対応するにあたり、現在のオンラインサービスでお客様がご不満に思われていることをデジタルで解決していく」と語る。

 この考えのもと「グリーンビーンズ」の特徴に時短や楽しさの創出が挙げられる。

 過去の購入履歴に基づきAIが複数の推奨品をクリック1つでまとめてカートインするスマートカート機能によって、商品を1つ1つをカートインする手間を省く。

 「過去の購買履歴や他のデータを組み合わせて“こういったものをお求めになられたい”という商品を自動でカートに用意する。従来と考え方が180度変わり、商品が入った状態から買い物をされる。その状態から商品を追加したり外したりする。毎日のお買い物をわずか15秒で済ませることも可能となる」とイオンネクストの太田正道取締役副社長は胸を張る。

 利用を重ねるにつれてパーソナライズされ、楽しさも創出する。

 「独自のレシピもたくさん準備している。“このレシピつくりたい”と選択すると必要な食材が提案され簡単に選べるようになる。“これは冷蔵庫にあるから要らない”ということも簡単にでき、手間をかけずに毎日の生活を楽しんでいただきたい」という。

 購入する14日前から商品を選ぶことができ買い物を計画できるほか、利便性としては朝7時から夜23時まで1時間単位の配送枠を用意している。

 接客がブランド力の決め手になるとの考え方から、接客も重視し、自社の専任スタッフの教育に時間をかけ質の高い配送サービスを心がける。

 一方、物流の2024年問題への対応も兼ねて配送のデジタル化を追求。

 「運転経験の浅い方でも簡単に業務ができる仕組みや、現場の作業者、管理者の作業負荷軽減、さらには運転技術をカメラとAIが判断して自動分析するような仕組みも入れて、計画から管理、分析、情報、さらに言えば、教育というところまで全部デジタル化している最中」とイオンネクストの野澤知広代表取締役副社長兼イオンネクストデリバリー代表取締役社長は語る。

 「グリーンビーンズ」のサービス開始と同時に、最先端のAIとロボティクス機能を導入したイオン初の顧客フルフィルメントセンター(CFC)も稼働する。

 品揃えについて、イオンネクストのバラット・ルパーニ代表取締役社長は「最大で5万点以上のSKUを用意し、欠品がないように98%以上の在庫を必ずお届けすることを目指している」と述べる。

 鮮度も重視し、産地から配送までの温度管理を徹底。配送から1週間以内、鮮度が保つことを約束する「1週間鮮度保証(鮮度+)」を提供する。

 「グリーンビーンズ」は今夏、東京都を中心に段階的にサービスを開始し、1年をめどに東京23区全域へ配送を拡大していく。

 「我々の既存の店舗出荷型のネットスーパーでは、実店舗のある範囲でしかサービスをご利用いただけない状況にある。今回のサービスでは、我々イオングループの実店舗が少ない首都圏、特に東京23区全域をカバーすることが可能となる」(吉田社長)と期待を寄せる。

 また、リアル店舗だけを利用している顧客と比べて、リアル店舗との併用を含めたネットスーパーの利用客は購買金額が高い傾向にあることから、リアルとネットの棲み分けは可能との見方も示す。

 サービス開始後は継続率を注視する。
 「非常に今こだわりたいのは継続率。将来のOne to Oneマーケティングにつながっているため、イオンネクストだけではなく、例えばファイナンシャルサービスなどイオングループのトータルのサービスを提供するチャネルの1つになっていく」(吉田社長)と説明する。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)