伊藤園から「晴れのち曇り時々お茶」という異例の新商品 QRコードで物語が読めて第2弾商品では新たな物語を募集 その狙いは?

 伊藤園は4月3日、「晴れのち曇り時々お茶」という名の異例の新商品を発売した。

 同商品は日本茶ベースのフルーツティー。
 その狙いについて3月31日の発売記念イベントで取材に応じたマーケティング本部緑茶ブランドグループ商品チームの柿﨑美智子さんは「若い人にどうお茶を楽しんでいただけるかが課題で、フルーツとの組み合わせでお茶の新しい楽しみ方を広げていきたい」と語る。

 新しい楽しみ方を広げるにあたり参考にしたのが、2021年頃に起こった抹茶ラテ飲料のブーム。
 抹茶ラテが若年層を取り込んでいるのを目の当たりにして「お茶も伝統的なお茶だけでなく、ミルクやフルーツを入れたりすることで、若い人たちにもっと広がると考えた」という。

 ラテの選択肢もあったが「フルーツ系の世界も絶対に広がる可能性がある」と判断。国内外のフルーツティーを収集・研究して、25歳くらいまでをターゲットにした日本茶ベースのフルーツティーを開発した。

 フルーツティーでありながら緑茶のすっきりした味わいを引き立たせることに腐心し「緑茶に少し火を強く入れて、ほうじ茶のような一口飲んだときにふわっと香るようにした」。

 組み合わせのフルーツは「春の新生活に合わせて甘酸っぱいイメージのある、りんご・レモン・ももを選択した」。

発売記念イベントに招かれ小説家の汐見夏衛さん - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
発売記念イベントに招かれ小説家の汐見夏衛さん

 若年層とのコミュニケーションやプロモーションは手探りで進めていく。

 同商品は「晴れの日も曇りの日も一杯のお茶が私を前向きにする」をコンセプトに開発し、小説家の汐見夏衛さんに物語を依頼。その物語は、パッケージ側面のQRコードから触れられるようになっている。

 物語の概要について、発売記念イベントに招かれた汐見さんは「新生活への不安や、いろいろ上手くいかないことがあって自信をなくしたりしているような人が読んだ時に前を向いて一歩踏み出せるようになればいいなと思って書かせていただいた」と説明する。

 4月10日からは秋冬に発売を予定している第2弾商品に向けた物語の募集を「monogatary.com(モノガタリードットコム)で実施する。

左から発売記念イベントにゲストに招かれた香音さんと、伊藤園の柿﨑美智子さん - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から発売記念イベントにゲストに招かれた香音さんと、伊藤園の柿﨑美智子さん

 品質の担保と原料調達に支障をきたさない範囲で、応募作品を受けて第2弾の中味の調整も模索する。
 第2弾のパッケージには当選した応募作品の掲載を予定し、生活者との共創による商品開発を目指していく。

 「やはり今の時代はメーカーからの一方的な発信ではなくて、消費者とのコミュニケーションが物凄く大事になってくる」との見方を示す。

 伊藤園初の試みとしては、第1弾の世界観をスマートフォンでも体験してもらうためオリジナルTiKTokブランドエフェクト「ハレクモ」を展開している。

 発売記念イベントを実施した複合施設「渋谷キャスト」では3月31日から4月2日までプロモーションイベントを実施。期間中、5000本のサンプリングを予定している。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)