ファミリーマートが断絶した世代間のコミュニケーションをつなぐ架け橋に「生コッペパン」開発

 ファミリーマートは、断絶した世代間のコミュニケーションをつなぐ架け橋として2月28日に「生コッペパン」を新発売した。

 開発の背景について、2月27日発表した足立光エグゼクティブ・ディレクターCMO兼マーケティング本部長は「家族や職場での上司・部下において(コミュニケーションで)世代間の断絶があると考えている。生まれた背景や時代による価値観に、近年のメディアの進化・細分化が加わり、触れる情報の違いに起因していろいろなギャップが生まれてきている」と指摘する。

 同社は、ファミリーを社名に取り入れていることもあり、この家族の断絶を少しでも解決すべく、近年商品開発に取り組んでいる。

 その好例がパンカテゴリーで、21年春にカレーパンとメロンパンを刷新して「ファミマ・ザ・パンシリーズ」の傘下で展開。続く22年春には同シリーズから「クリームパン」を新発売し、今年、満を持して「生コッペパン」を投入する。

 「ご存知の通り、コッペパンは日本の給食にはじめて登場し長年にわたり親しまれ、どの年代も誰しもが体験を共有している数少ない事柄の1つと考えている。そこで、コッペパンが世代に関係なく共通の話題としてコミュニケーションをつなぐ架け橋になるのではないかと考えた」という。

 販売金額目標は既存のコッペパン商品との比較で150%を掲げる。「コッペパン自体、結構大きな売上げを占めている商品なので、もっと幅広い方に召し上がっていただきたい」と期待を寄せる。

 「生コッペパン」の開発は、生カヌレなど水分をたっぷりと含むしっとりとした“生”という付加価値をつけた商品がトレンドになっていることを受けて行われた。

 「コッペパンにはこれまで、“バサバサ”や“ボソボソ”といった水分を奪っていくイメージが一部あったことも考え、いろいろな製法を試して、ネガティブな印象を一掃できるような驚きのあるしっとり食感のコッペパンを開発した」と胸を張る。

2月27日発表会で、吉田鋼太郎さんと八木莉可子さんを囲むファミリーマートの細見研介社長(左)と足立光エグゼクティブ・ディレクターCMO兼マーケティング本部長(右) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
2月27日発表会で、吉田鋼太郎さんと八木莉可子さんを囲むファミリーマートの細見研介社長(左)と足立光エグゼクティブ・ディレクターCMO兼マーケティング本部長(右)

 ラインアップは「たまご」(税込138円)と「あん&バター入りホイップ」(同)の2種類。次回購入時に20円引きクーポンがもらえる発売記念キャンペーンや吉田鋼太郎さんと八木莉可子さんを起用したTVCMなどで訴求していく。

 施策全体の方針としては、これまでの施策を踏襲しながら「さらに、強く、もれなく、広く」をテーマに掲げる。

 “強く”では、ファミリーマート店舗内で視聴できる新しいデジタルサイネージ「Family Mart Vision」を活用して話題化の手法を随時改善していく。

 “もれなく”については「これまでファミマ限定品であるにも関わらず、PRやSNSの訴求から漏れていた商品が度々あったことから、23年度は商品本部との連携をさらに強化してファミマ限定商品は可能な限りお客様に訴求していく」。

 “広く”では「PRやSNSを駆使して高い認知率を獲得していく手法を、これまで主に中食を中心に行っていたのを、23年度は予約商材や各種サービス、SDGsへの発信にも広げていく」。

 同社は昨年、「ファミチキ」をはじめ多くの商品で値上げに踏み切ったが、その後も好調を維持しているという。

 2月27日冒頭挨拶した細見研介社長は「客数・日商・客単価の重要指標で成長を遂げることができた。これは加盟店と一緒になり店舗QSC(クオリティ・サービス・クリンネス)を徹底しつつ、付加価値の高い商品開発を継続したことで、お客様からご支持をいただいたものと感謝している」と振り返り「23年度もお客様に価格以上の価値を明確に感じていただく商品開発の方針をしっかり継続していきたい」と意欲をのぞかせる。