日本ハム 次期社長の井川氏 構造改革のスピード上げ成果へ

日本ハムの新社長に井川伸久代表取締役副社長が4月1日付で就任する(既報)。1月11日に畑佳秀社長と井川副社長が大阪市内で会見を開いた。畑社長は、井川副社長の最大の強みとして「強いリーダーシップ」と「変革実行力」を挙げる。井川副社長は「挑戦する風土」「強みをより強く」「高付加価値商品」などの注力項目とともに、「構造改革のスピードを上げる」と方向性を示した。

〈会見要旨〉

畑社長の話

【社長就任からの5年を振り返って】

「2018年の社長就任以来、持続的変革とあくなき挑戦をモットーに、企業価値の最大化を目指し、最適事業ポートフォリオの追求と成長戦略によるビジネスモデルの変革に注力し、最適な事業ポートフォリオの追求では、経営資源集中に伴う事業売却(マリンフーズ)など、グループにとって大きな決断もしてきた」

「20年以降はコロナ禍などで厳しいが、取引先の協力、従業員の努力などで安全・安心な商品を安定的に届ける食品企業としての社会的責任を果たすことができた」

【後任を託す井川副社長について】

「シャウエッセンの改革などに取り組み、成果を上げてきた。現在の難局を乗り越え、グループの成長発展を成し遂げられると確信している」

井川副社長の話

【新社長就任に際して】
「私の使命は企業理念の下、畑社長が示したグループビジョン2030に沿い、構造改革のスピードを上げ、成果につなげること。新たんぱく質(培養肉など)の実用化、持続可能な畜産業の技術革新(スマート養豚システムなど)などに経営資源を集中させていく。トップラインを上げ、コスト削減し、様々なたんぱく質を供給する企業として、新たなステージに導くことに注力する」

【ニッポンハムグループのシナジー創出】

「各社がそれぞれ独自の進化を遂げてきた。さらにベクトルを合わせていく。営業では、精肉、ハム、チーズなど各販路があるが、それぞれで得意不得意がある。DXを活用し、われわれの良い商品をあらたに伝えていくことが可能となる。もう一つは共同物流などでコスト削減を図る」

【課題】

「課題は山積だが、チャレンジ意識、改革意識が少なくなってきたと感じている。挑戦する風土が大事。また、強みをより強くしていく。ブランドや販売力、調達力をいかに伸ばすかが私の使命」

【商品では】

「強みのシャウエッセンはより強くしていく。ただ、直近の課題はシャウエッセンの(値上げによる販売減からの)回復となる。そして、シャウエッセンの次のブランドを育てていく。高付加価値商品がまだ少ないので、価値ある商品のブランド化も直近の課題だ。販売力ある食肉は鶏肉のシェア25%の目標を前倒ししていく。食肉ブランド『桜姫』『麦小町』などメーンとなるブランドをさらに強化していく」

【業務用の考え方】

「売上を極端に上げるのではなく、利益を見ながらコントロールしていく。適正利益の得意先とのパイプをいかに太くしていくかが重要。われわれの優位性と利益が伴う商品を中心に展開していく」

【モットー】

「笑門来福。しかめっ面だけではだめ。苦しい時もリーダーが笑顔を絶やさず方向性を示せば、浮足立たず成果に結びつく。過去の体験を通して実感したこと」

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