サントリー、飲料と飲料以外の間にある中間領域を攻める 「ボス カフェベース」や果肉入り「GOROCHA(ゴロチャ)」に手応え

 サントリー食品インターナショナルは2018年にイノベーションを目的にクロスリージョン開発推進部を新設し飲料と飲料以外の間に中間領域へのアプローチを続けている。

 飲料ビジネスの主流は、缶やペットボトルなど購入後そのまま飲めるRTD(Ready To Drink)だが、嗜好の多様化やおうち時間の増加により、自ら淹れたコーヒーなどをマイボトルに入れて持ち運ぶという非RTDの動きにも注目が集まる。

 サントリーはRTDと非RTDをそれぞれ伸ばしていく。
取材に応じた日本事業を統括する木村穣介SBFジャパンCEOは「非RTDの領域はこれからもいろいろやっていく。RTDと非RTDのどちらが正しいということはなく、どちらにも道がある」との見方を示す。

果肉入り「GOROCHA(ゴロチャ)」(現在、販売終了) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
果肉入り「GOROCHA(ゴロチャ)」(現在、販売終了)

 今年の手応えとしては7月に一部のチャネル・店舗でテスト販売した果肉入り紅茶飲料の「GOROCHA(ゴロチャ)」を挙げる。

 これは、紅茶飲料の中に果肉が入ったもので「RTDでも非RTDでもなく、両者の中間領域に位置付けられ、果物を切ったり皮をむいたりするのが少し面倒という不満点に対応している」という。

 濃縮飲料の「ボス カフェベース」も自らアレンジを加えて楽しむという点で中間領域に属し、在宅勤務時間の増加と在宅でカフェショップのような味わいを楽しみたい“おうちカフェ”ニーズの高まりが後押しとなり拡大を続けている。

 特にコロナ禍の2020年販売実績は前年比約4割増を記録。現在、6年連続の成長に向けて好調を維持しており、22年も二桁増の着地見込みとなっている。

12月12日に「TAG COFFEE STAN(D)」を導入した109シネマズ大阪エキスポシティ(イメージ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
12月12日に「TAG COFFEE STAN(D)」を導入した109シネマズ大阪エキスポシティ(イメージ)

 飲料を通じたサービスとしては「TAG COFFEE STAN(D)」に新たな可能性を見出している。

 同サービスは、その日の気分に合わせて自分好みのコーヒーの味わいにカスタマイズできるほか、ラベルのデザインも3000種類以上の豊富なバナーデザインから選択でき、名前やメッセージなども自由に入力できるのが特徴。

 「諦めずに何度かやっているうちに、ラベルを含めて自分好みのコーヒーをカスタマイズしてつくれる特性から、ラベルと様々なコンテンツとの組み合わせで新たな展開の芽が出てきた」と語る。