飲料市場は1-11月、行動制限の緩和による人流回復や猛暑の影響で前年同期比3%増と推定される。
こうした中、7%増と突出して高い伸びをみせたのはサントリー食品インターナショナルでトップのコカ・コーラシステムを猛追する。
取材に応じた日本事業を統括する木村穣介SBFジャパンCEOは「主要メーカーの中でコロナ前の2019年比を上回ったのは当社のみであろう」と胸を張る。
好調の原動力については、「主要カテゴリーの各ブランドを愚直に強くしていったことに加えて、社員一人一人が自ら判断して、状況が刻一刻と変わり見通しの立たない中でスピードを落とさず動けるようになったことが一番業績に寄与した」と語る。
ブランドや商品を磨き続けたことも奏功した。
「中味に自信のあるものは諦めずにやり続けることが大事で、22年の課題は『GREEN DA・KA・RA』ブランドと伊右衛門『特茶TOKUCHA』(以下、特茶)の2つで、結果から言うと、2つとも上手くいった」と振り返る。
「GREEN DA・KA・RA」は、4月に「本体」と「GREEN DA・KA・RAやさしい麦茶」の中味・容器・宣伝を大刷新して磨きをかけたところ、本体と「やさしい麦茶」はともに2ケタ増となり1-11月ブランド計では16%増の販売数量を記録した。
新商品では、ブームが去ったとされるフレーバーウォーターの価値に着目して開発された「サントリー天然水 きりっと果実 オレンジ&マンゴー」がヒットした。
「果実の健康感と『サントリー天然水』ブランドがぴったりとハマり、コンビニチャネルでは一番売れた新商品となった(同社調べ)」という。
「ボス」の缶コーヒーもフレーバーウォーターと同様のアプローチで価値を見直し磨き続ける。
「“缶コーヒーは終わった”という風潮になっているが、そんなことはなく、あれだけボリュームのある市場でワンショット飲みされているのでポテンシャルはあり、今の時代に焼き直して挑戦していくことが大事」との見方を示す。
来年は、自販機の提案強化や領域拡大の動きが予想される。
自販機は今年1月、サントリービバレッジソリューション・サントリービバレッジサービス・ジャパンビバレッジの3社を統合してサントリービバレッジソリューション(SBS)が始動した。
「出自も考え方も異なる会社が一緒になったため、現場は大変で3月くらいまで大変な状態が続いたが、ルートの再編やシステムなど統合すべきことはほぼ年内にやり切ることできた。来年は3つが1つになった強みを発揮していく」と意欲をのぞかせる。
10月に主要メーカーが実施した値上げの影響によって、来年の市場は3%程度の販売数量減少を予想。こうした中、サントリー食品は「我々は来年も数量を減らすつもりは全くなく、金額を上げていく」と攻めの姿勢を崩さない。