価格コンシャス対応と値ごろな商品開発がカギ 日本スーパーマーケット協会 川野幸夫会長

食品スーパー(SM)業界は、コロナ禍で追い風を受けていたものの、相次ぐ値上げによる消費者の買い控え傾向に加え、大幅なコスト増で利益を圧迫している。一般社団法人日本スーパーマーケット協会(以下、JSA)の川野幸夫会長(ヤオコー会長)は21日、SM3団体合同記者発表会で、23年展望や年末商戦について次のように語った。

「努力が試されるとき」

年末商戦は、普段の生活で出費を抑える我慢の生活を送る中、ハレの日だけはにぎやかに過ごしたいと思っているだろう。クリスマスやお正月に向けた買い物は、今までの経験からいっても期待ができると思う。10月からSMは値上げもあり売上高は回復傾向、11月の既存店食品売上高は2.3%増、12月もその流れは続いている。

23年はなかなか難しい年になるだろう。ロシアのウクライナ侵攻がいつまで続くか分からないが、世界経済は低迷し続け、国内も賃金が上がらない中、物価は上昇し節約志向は高まっている。コロナ禍でSM業界の売上は、内食需要などから増加したが追い風は止み、これからはネットスーパーも含めさらに競争は激化する。消費者の価格コンシャスは高まり、どう対応していくかが重要。それぞれの企業がいかにコスト削減をしていくのか考え、徹底的にやっていかなければいけない。もう一つは、値頃で販売しても利益を上げられるような商品開発を進めることも重要で、企業規模によってはボランタリーチェーンなどの活用も必要となってくるだろう。

小売業は、極端なことを言えばぬるま湯に浸かってきた。食品は景気によって大きく左右されないため危機感を持ちづらい。ただ、今はそんなことをいっていられない厳しい環境を突き付けられている。現在も物流費や電気代などのコスト増が続き、上昇分をそのまま価格に転嫁すれば食生活は大きく影響を受ける。業界としては適切な価格転嫁を行いながらも生産性向上を図っていかなければならない。各企業も、今まで実力を磨いてきたか、努力を続けてきたかが試されるとき。現在の実力が企業業績に表れてしまう状況になるだろう。

①24年問題に象徴される物流危機が叫ばれる中、製配販の情報連携によるサプライチェーン全体での効率化
②人手不足解消のため外国人人財の活用
③就労制限の見直しへの取り組み
④キャッシュレス決済手数料低減に向けた取り組み

――。今後も業界発展のための提案や、行政などへの要望活動に取り組んでいきたい。