世界人口108億人時代へ 食糧需給は

どこまでも広がるウクライナのひまわり畑。第二次大戦中のソ連戦線に出征し行方不明となった夫を、必死に探し続けるイタリア人女性――。マルチェロ・マストロヤンニ、ソフィア・ローレンら名優の演技が光る、伊映画『ひまわり』(1970)の最も象徴的なシーンだ。

▼ウクライナが世界供給量の約半数を占めるひまわり油。日本での使用量は少ないが、ロシアによる侵略で供給難となったことで、菜種油やパーム油の国際需給にも大きな影響を及ぼした。

▼円安とウクライナ危機に翻弄された今年の食品業界。われわれの生活が、世界の「いま」と直結していることを思い知らされた一年でもあった。

▼ついこの前まで70億人だと思っていた世界人口は、この11月に80億人を超えたという。20世紀初頭に発明されたハーバー・ボッシュ法による化学肥料の大量生産化を契機とした人口爆発は、約60年後に108億人に達するまで続くと予測されている。そのとき、世界の食料需給の姿はどうなっているのか。人類の知恵を、国家間の争いに費やしている場合ではない。