慢性腎臓病予防に光明 共同研究で特許取得 ニチニチ製薬など

大阪公立大学(辰巳砂昌弘学長)、京都府立大学(塚本康浩学長)、ニチニチ製薬(森下政彦社長)は8日、大阪市内のあべのメディックスで、乳酸菌素材「FK-23」と「LFK」の慢性腎臓病進行抑制効果について特許の取得を発表した。

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓組織の線維化が症状を引き起こす疾患。罹患率、死亡率が高い上、進行を抑制する治療法も確立されていない。ニチニチ製薬の「FK-23」「LFK」を使ったラット試験で、線維化の出現抑制や線維化の指標となる複数たんぱく質抑制、血中BUNやクレアチニンなどの改善を確認し、特許取得につながった。

特許取得は、竹村茂一・大阪公立大学医学研究科特任准教授、南山幸子・京都府立大学副学長(同大学大学院生命環境科学研究科教授)、ニチニチ製薬の三者。

会見では竹村・大阪公立大学特任准教授が、特許を取得した乳酸菌菌体成分による慢性腎臓病の進行抑制に関するメカニズムを説明、南山・京都府立大学副学長は「ラット試験であるが慢性腎臓病の進行抑制につながる初の知見。世界でも8億5千万人が基礎疾患を持っている。ヒト臨床ではどうなるのか今後も研究を継続していきたい」と抱負を述べた。

エンテロコッカス・フェカリス菌に加熱処理を施した「FK-23」、酵素処理を施した「LFK」は、いずれもニチニチ製薬が開発したオリジナル乳酸菌素材。コロナ環境下で消費者の関心が免疫強化に集まる中、両素材の需要も拡大している。同社は6月に新工場を完工させ、今後の原料販売、OEMなど受注増に対応する構えだ。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)