九州薬品工業 青汁製品ワンストップ化へ 原料栽培から最終製品まで

九州薬品工業(佐賀県鳥栖市 右近保社長)は24日、山鹿市との立地協定を熊本県庁で締結。山鹿市内に青汁の原料となるチップ加工場を設置するとともに、大麦若葉、ケールなどの栽培にも着手する。

同社は既に山鹿市に農業生産法人「九州四季ファーム」を立ち上げており、青汁の需要が拡大する中で安心・安全を前提とした原料の品質の向上、生産能力拡大、地域おこしに向けた六次産業化をさらに推進する方針を打ち出している。

青汁市場はここ10年漸増を続けており、現在800億円市場。インバウンド特需でも風味の良さからアジアからの訪日観光者の土産として重宝されており、国産原料の確保が各メーカーの今後の課題となっていた。

熊本県庁で行われた締結式では、右近社長、中嶋憲正・山鹿市長、奥薗惣幸・熊本県商工観光労働部長らが出席。奥薗・熊本県商工観光労働部長は「製造拠点として雇用を生むだけでなく、農業の活性化も期待できる。元気が出るビジネスモデルだ」と歓迎。今後のサポートを約束した。また、中嶋・山鹿市長は「環境や歴史文化に恵まれる町だが、若者の流出など課題も多かった」と説明。「生産増加とともに地元農業の活性化の起爆剤になるのでは」と、市としては初の食品企業との提携を喜んだ。

式典終了後の会見では、勝島慈郎専務が事業の説明とともに、山鹿市での今後の取り組みを説明。右近社長は「成熟社会のわが国で今後、基幹産業になるのは農業。青汁製造でこれまで蓄積したノウハウを最大限活用して六次産業化を進め、若者が戻ってくる地域にしたい」と力強く抱負を述べた。

なお新工場は8月に着工し来年10月から稼働を開始する予定で、概要は以下の通り。

▽九州薬品工業山鹿工場(熊本県山鹿市鹿本町津袋1249番地他11筆)、用地面積1万3千171.6㎡、建物面積1千479㎡。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)