雪印メグミルクは9月27日、約200億円(解体費用含む)を投じた磯分内工場のバター等新棟(北海道川上郡標茶町字熊牛原野)の竣工披露式を行った。新型コロナウイルスの影響で、稼働を開始した昨年4月から1年半ほどを経ての開催となった。
式典には佐藤雅俊社長をはじめとする同社役員ら15人ほか、地元自治体や金融機関、運輸関係者など40人が参加。北海道釧路総合振興局長の菅原裕之氏、標茶町町長の佐藤吉彦氏が来賓を代表してあいさつした。
佐藤社長は「磯分内工場は生乳の安定的な受け皿としても期待に沿えると考えている。磯分内工場・バター等新棟の最終形が整ったことで、家庭用バター、生クリームを安定的に生産している姿を皆さまに竣工披露させていただくことにした」とあいさつ。引き続き牛乳乳製品の需要拡大に注力する方針を示した。
磯分内工場は、1960年に当時道内最大規模の粉乳・バターの生産工場として誕生。バター・生クリーム・脱脂濃縮乳の主力工場として稼働してきたが、老朽化に加え狭隘で設備運用の制約が大きいことから新棟建設に至った。
新棟(バター、機電棟など)は「高品質な北海道生乳から主として家庭用バター、業務用バター・生クリームを製造する同社主力工場として、生乳生産の伸長エリアでの安定生産を確固たるものとする」という目的のもと整備し、昨年4月に稼働を開始。工場の敷地面積はおよそ7万1千194㎡、生産品目はバター、粉乳、生クリーム、脱脂濃縮乳の4品目。生乳買入実績は約18万400t(2021年度)、従業員数98人(22年8月)。今回の新棟稼働により、生乳買入実績は2万t弱増加、バター製造能力は1.1倍ほどを見込む。
新棟では全国の「雪印北海道バター(10gに切れてる)」(100g)全てと「雪印北海道バター」(200g、有塩)の約6割などを製造し、PC操作による無人自動資材搬送システムを導入するなど、生乳受け入れから出荷業務までの一連の工程を効率化。将来的なプロダクトミックスの変化に適応可能な新設建物・機器配置、将来的増床スペースも考慮した。福利厚生としては、バリアフリーでコミュニケーションが取りやすいカフェテリア風の休憩スペースや食堂を設けた。
木村修磯分内工場長は竣工式後の取材会で、「酪農家の方に安心して搾乳してもらえるよう、決められた量を確実に生産できることが一番重要。町のイベントを通して商品を知り、飲んでもらうなど、地道な活動にも取り組んでいきたい」と語った。