秘伝の“胡麻だれ”を手軽に しゃぶ禅の新業態店「ごまいち」 菅野雄介社長に聞く

しゃぶしゃぶ・すき焼き専門店を全国に展開するしゃぶ禅(本社・東京都新宿区)は7月28日、しゃぶ禅こだわりの「胡麻だれ」を味わえる新業態店「ごまいち」を東京・虎ノ門にオープンした。外食産業がコロナ禍からの回復を見通せない中で、あえて新業態店にチャレンジする狙いは何か。菅野雄介社長に今後の方向性、ビジョンを聞いた。

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しゃぶ禅は創業以来30数年の歴史を持ち、特に独自開発した「胡麻だれ」はお客様に高く評価していただいている。

菅野雄介社長(しゃぶ禅) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
菅野雄介社長(しゃぶ禅)

その自慢の胡麻だれを、しゃぶ禅をご利用されたことがないお客様にも存分に味わって欲しいという思いが新業態開発のきっかけ。また、しゃぶ禅は夏場の集客力が弱く、胡麻だれを活用した新業態で補えないかとも考えていた。こうした中、たまたまコロナ禍のランチメニュー候補として「胡麻だれ担々うどん」の提案があり、これならば専門店として多店舗化も可能と考え新業態店「ごまいち」出店につながった。

来年夏までに直営で4店舗を展開する予定。売場面積は15坪ほどで、客単価は900円前後を想定している。胡麻だれ担々うどんとクリーミー胡麻だれカレーうどんしかないシンプルなメニュー構成で、オフィス街のランチ需要の取り込みを狙う。しゃぶ禅で築いた経験・ノウハウは一切通用しない。特にオペレーション面では、品質を維持しながらの原価管理、粗利確保が非常に難しい業態だ。店舗スタッフには「われわれはチャレンジャー。しゃぶ禅での常識は一切通用しない気持ちで挑みなさい」と言っている。

しゃぶ禅は1983年に父が創業した会社で、私自身がしゃぶ禅事業にかかわったのは1999年に四谷店のFCオーナーになってから。しゃぶ禅の代表を引き継いだのは2017年、私が42歳の時だった。2代目社長にはよくあることだが、社長が代わり会社方針を変えようとしても、創業時からのベテランスタッフから反発されてしまう。中には自ら退職した者もいるが、これまでの努力に感謝し彼らのプライドを尊重することで、私の方針に対しても理解を深めていただき多くのベテランスタッフが残ってくれた。

社長就任後最も大きく変えたことは、接客の強化だ。例えば、しゃぶ禅のメニューには「三種食べ放題としゃぶ禅のおもてなし〇円」と記載した。つまり、接客・おもてなしが価格に含まれているということで、その意識を現場に徹底するよう改革したものだ。メニューに書いてある以上は、しっかりとした接客・おもてなしをしようと。ただ、しゃぶ禅に接客マニュアルはない。毎日全店舗からレポート(成功例・クレーム例)を提出してもらい、すべてに私が目を通して改善コメントなどを返信している。返信は全店にするため、他店の取り組みや私の考えなどが共有できる仕組みとなっている。スタッフ一人一人がお客様の目線に立って「自発的に何ができるか」を考えることがしゃぶ禅のおもてなしだ。

しゃぶ禅を知らないお客様はまだまだ多い。和牛食べ放題・非日常のおもてなしなどこれまで評価されてきたことは、今後もしゃぶ禅で芯の通った店づくりをしていきたい。一方、環境に応じて変化させなければいけないことについては、「ごまいち」など新業態としてチャレンジしていくつもりだ。コロナをはじめ環境変化の予測が困難な中で、日々その時できる最良の選択をしていくことが重要と考えている。

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