「マイクポップコーン」 “煎り酒”ヒントに満を持して新フレーバー 独自の価値で拡販へ ジャパンフリトレー

「マイクポップコーン」は誕生から65周年を迎えた。常に日本のポップコーン市場を牽引し、80年代には「マイクポップコーン バターしょうゆ味」の大ヒットで確固たる地位を築いた。一方、バターしょうゆ味を超える商品開発が長年の課題だったが、試行錯誤の末ついに自信作「マイクポップコーン オリジナル極みだし味」の開発に成功、29日からの発売となった。開発に携わった、日本のスナック業界に「和」フレーバーを取り入れた先駆者の一人でありヒットメーカーのカルビーCTO兼ジャパンフリトレー開発責任者の伊藤政喜氏と、マーケティング本部マーケティング部ブランド課ブランドマネージャー大濱貴子氏に話を聞いた。

「バターしょうゆ味を超える!」目指し誕生

――開発の経緯や新商品への思いをお聞かせください。

大濱 「バターしょうゆ味」は配荷率も高く長く愛されている商品だが、以前から新たな柱を作りたいという思いがあり、社長をはじめ伊藤にも協力を仰ぎ開発をスタートさせた。フリトレー史上最も時間や人員をかけて「バターしょうゆ味を超える!」という気概で、今回の新商品が生まれた。

――「極みだし味」に行き着いた経緯は。

伊藤 83年に「バターしょうゆ味」が発売され、和と洋の融合は画期的だったが、今の時代、技術的にはどんな味でも作れてしまい、フレーバーが出尽くした感もある。「バターしょうゆ味」がなぜ売れているのか再度検討した結果、しょうゆに着眼し、しょうゆよりも古い歴史のある調味料「煎り酒」にたどり着いた。日本人がDNAとして持っている味覚の中枢に訴えかけられたらと思う。

――開発の際に苦労された点は。

伊藤 スナック菓子のキーポイントは「連食性」だと思っている。それを引き出すための塩味と旨みの黄金比が大事。日本酒・鰹節・梅干・塩とシンプルな味付けゆえに、ポップコーンに適したバランスを見つけることに苦労し、何百通りも試作した。まさに適した“塩梅”を見つけ、全体のトーンのやわらかさに、岩塩を使用することで口に入れた瞬間の鋭い塩味を表現し、さらにプラスして「梅」の酸味でキレを出すことにも成功した。

――小売の反応はいかがですか。

大濱 現在プレゼン中ではあるが、とても反応が良く導入になった企業も多いため手応えを感じている。弊社としても販売につながるプロモーションを厚めに用意し、導入後も盛り上げていきたい。

――ポップコーンの日本市場における課題は。

大濱 スナックの棚を見ると分かるようにポテトチップの割合が非常に大きく、世界に比べても市場がまだまだ小さい。消費者調査によると普段のおやつというよりは、映画館やテーマパークでの喫食シーンイメージが強い。そのイメージも「ポップコーンは楽しみのそばにある」と一つの価値として大切にし、加えて食物繊維が豊富でカロリーが低いなど、他のスナックと違った独自の価値を訴求し、課題解決につなげたい。

――ポップコーンの今後の可能性についてどう思われますか。

伊藤 実践女子大学と共同研究したところ、ポップコーンには豊富な食物繊維とポリフェノールの一種であり抗酸化作用、脳機能改善、高血圧改善などの効果があるといわれているフェルラ酸が含まれている。加えて、とうもろこしに含まれる不溶性食物繊維は近未来にさらに注目されるとの見解もあり、健康意識の高まりも追い風になりポテンシャルを十分に持っている商品だろう。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)