ウエルシア薬局 「ボトルtoボトル」拠点化 回収BOX設置拡大してPETの水平リサイクルに貢献 コカ・コーラからパートナーも拡大

 ウエルシア薬局は使用済みペットボトル(PET)の回収BOXを設置拡大して「ボトルtoボトル」の拠点化を推し進めPETの水平リサイクルに貢献していく。

 現在、栃木県内56店舗・茨城県内113店舗・埼玉県内約190店舗(実証実験中)の計約359店舗に設置している回収BOXを、11月から近畿地域と東海地域の一部の店舗にも広げていく。

 新規設置は三重県の29店舗を皮切りに310店舗程度を予定し、23年には新旧あわせて665店での回収を目指す。

 ボトルtoボトルは、使用済みPETを原料化(リサイクル)して新たな食品用PETボトルに再利用する手法で、新たな石油由来原料の使用と原油の運搬を不要とするためCO2排出削減効果が見込まれ飲料業界一丸となって推進されている。

 ただし、推進の要となるメカニカルリサイクルと呼ばれる手法では不純物のない良質な使用済みPETが求められることから、リサイクルに適した使用済みPETの安定的な確保が課題となっている。

 これに対して、ウエルシアでは店頭でポスターを掲示するなどして啓発に取り組んでいるほか、アラインと共同開発したトレーサビリティーシステムを活用して回収量の全量をリアルタイムで把握し歩留まりの可視化にも取り組んでいる。

 運搬コストの抑制にも取り組む。

 店頭回収された使用済みPETは、物流センターに収集され、中間処理施設によって選別・減容(フレーク化)される。次にフレーク化されたものをリサイクラーが引き受け、そこで再生されたリサイクルPET原料(PET樹脂・ペレット)が飲料メーカーに引き渡されている。

 ウエルシアは、店舗から物流センターまでの収集を商品配荷の帰り便トラックを活用することで回収・運搬・再生に関わるコストを抑えて、中間処理施設・リサイクラーを介し飲料メーカーに引き渡している。

 消費者に対しては家庭内の保管スペース解消がメリットに挙げられる。

 市町村による資源物収集は週一回程度の頻度であることが多く、使用済みPETの収集日まで家庭内で保管しなければならない。
 ウエルシアでは営業時間内いつでも持ち込めるようになっている。

 リサイクルPET原料は現在、栃木県・茨城県の店舗で回収された分をコカ・コーラボトラーズジャパンに、埼玉県の店舗で回収された分をキリングループに引き渡している。

 今回、近畿地域中心に新規設置される分は、コカ・コーラボトラーズジャパンとサントリー食品インターナショナルに引き渡される。

 引き渡しメーカーを絞り込んでいる理由を質すと「経営判断が入るが、他の飲料メーカーさまに関しても広く門戸は開いている」(ウエルシアホールディングス)と回答。

 なお、パートナーで先陣を切ったのはコカ・コーラボトラーズジャパンで2020年9月からと栃木県内の店舗でボトルtoボトルの実証実験を開始し、21年6月に栃木県56店舗と茨城県内113店舗の169店舗で本格展開。
 22年6月からはキリングループと埼玉県の約190店舗で実証実験を順次実施している。