カゴメは日本電気のAI技術を活用し、子どもの苦手な野菜と相性がいい食材を組み合わせた「AI(愛)のプリン」(6種類)を共同開発し、2日から専用ホームページでレシピを公開し、9月からオンラインと店舗で順次販売する。両社は2日、開発に携わった岐阜の菓子店「プルシック」の所浩史オーナーシェフを交え記者説明会を行った。
カゴメは、一昨年から「野菜をとろうキャンペーン」の一環として異業種と連携し、「野菜摂取推進プロジェクト」を発足。現在までの賛同企業は19社に達し、日本電気もそのうちの一社。今年7月にはNECのAIを活用し、加工用トマトの営農支援を行うための合弁会社をポルトガルに設立している。「当社は食品企業としてのさまざまな知見があり、今後もAIを活用し、プリンに限らずいろいろな食材との組み合わせやレシピへの活用も含めて検討していく」(宮地雅典カゴメ執行役員野菜をとろうキャンペーン推進室室長)方針だ。
日本電気は、AI技術を活用し、一人ひとりの身近にある社会問題を解決したいと考えており、こうした中でカゴメが行った「子どもの野菜に対する意識調査」に出会った。調査では、野菜が好きな子どもでも、そのうちの74%は嫌いな野菜があるという実態が明らかになり、コラボのきっかけになった。
子どもの野菜に対する意識調査をもとに、独自に収集した50万以上のレシピデータを組み合わせ、NECが開発した「リンク予測AI」を活用して子どもが苦手な野菜と相性が良い100通りの組み合わせが完成。これをネットで公開し、上位25種の中から菓子店「プルシック」の所浩史オーナーシェフの協力により6種類「AI(愛)のプリン」を開発した。
「リンク予測AI」は、ものごとの関係性を分析し、隠れた関係性を発見する機能がある。例えば「トウモロコシが苦手な子どもがいれば、AIはトウモロコシから数段階の関係性を連想し、トウモロコシはヨーグルトと相性が良いという仮説に到達。トマトも数段階の連想を経てクリームチーズとの組み合わせが分かった」(池谷彰彦NECデジタルテクノロジー開発研究所長)。
同社では、このAIを食品や化粧品などの商品企画、開発、マーケティングへの展開を目指している。
販売は岐阜の洋菓子店プルシックのオンラインと店舗で行う。「AI(愛)のプリン」の品ぞろえと販売時期は次の通り。「とうもろこしとヨーグルト」「トマトとクリームチーズ」は9~10月発売、「かぼちゃとレーズン」「にんじんと白ワイン」は11~12月発売、「ほうれんそうとココナッツ」「じゃがいもととうふ」は来年1~2月発売。各2千個販売し、完売次第終了。価格は各500円(税込)。