地元とともに歩む宮崎県の酪農乳業 生産の現場を訪ねて

酪農乳業紙誌16社が加盟する酪農乳業ペンクラブはこのほど、宮崎県の白水舎乳業(本社・宮崎市、都成謙三代表取締役)、南日本酪農協同(本社・都城市、有村義昭代表取締役社長)、高千穂牧場(本社・都城市、宮元広代表取締役社長)を視察した。

全国初の牛乳甘酒「百白糀」 ECに注力 白水舎乳業

「牛乳は命の白い水」という創業者の思いを社名にした白水舎は今年で創業103年、牛乳乳製品の製造販売に加え、イベント向けにソフトクリームの移動販売を行うなど牛乳乳製品の需要開拓にも積極的だ。

白水舎乳業 都成謙三代表取締役 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
白水舎乳業 都成謙三代表取締役

なかでも口蹄疫を機に発売を開始したという全国初の牛乳甘酒「百白糀」は、牛乳と米糀だけでつくった新しい発酵乳飲料。「当時、スーパーで牛乳が水よりも安い現状を受け、酪農家さんの励みになるようなまったく新しい付加価値のある乳製品を作りたい」(都成氏)との思いから開発し、今後は店頭に加え、EC販売にも注力する考え。「百白糀を全国に広めて、その良さを実感してほしい。ソフトクリームの移動販売はさらに多くの県で動けるように準備を始めている」(同)と全国展開への夢を語った。

先駆的な商品開発 24年に新棟完成 南日本酪農協同

「デーリィ」の愛称で親しまれる南日本酪農協同は、「ヨーグルッペ」「高千穂牧場カフェ・オ・レ」など半世紀以上にわたって牛乳、乳製品の製造・販売を手掛けてきた。

1966年に日本で初めて200㎖瓶を採用し、1973年には現在の牛乳パックの主流である「ゲーブルトップ」の紙容器(1千㎖/500㎖)を採用した「南日本牛乳」を製造。1976年にLL牛乳中心の総合基幹工場として創設された都城工場では、翌年全国で初めて鹿児島県の離島の学校給食にLL牛乳を提供し、2006年にはESL製法を採用して牛乳の賞味期限を13日に延長させるなど主力工場としての真価を発揮し続けてきた。

同社の2021年度の売上高は316億円、販売構成比は「ヨーグルッペ」など乳飲料が37%、低脂肪・無調整牛乳などの牛乳が26%、バター・脱脂粉乳・クリーム関係が25~26%、「スコール」など清涼飲料が9%、その他殺菌乳等が2%を占めている。

都城工場「ヨーグルッペ」製造ライン(高千穂牧場) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
都城工場「ヨーグルッペ」製造ライン(高千穂牧場)

今回視察した都城工場では同社全体で約320品あるうちの約280品を製造しており、年間約6万4千t、1日当たりおよそ200t弱の生乳処理が行われ、約6割を飲料、約4割をバターやヨーグルトなどの加工品に使用している。外出機会が戻りつつある中でクリーム関係が好調とし、バターは伝統的なバッチ式メタルチャーンで作る発酵バターもメディアに取り上げられるなど、反響を呼んでいるという。

2024年に完成予定の新棟では大手メーカーの栄養補助食品を受託製造するが、将来的にはさらに増設し、2027年頃に生産倍増を目指す。市場が伸長するチーズについてはPB商品の開発を始めており、国内の消費者ニーズを見極めながら開発を進めていく。

営業企画部部長の花里伸二氏は今後の乳業について「牛も野菜も生き物である以上、(天候要因などにより)生産が安定しない中で、いかに国内で育て上げられるかが重要。酪農家の方が生活できる適正価格で購入していただける世の中になれば相乗効果で良くなっていくと思う」と述べた。

年間40万人来場 体験型の高千穂牧場

南日本酪農協同の関連会社である高千穂牧場は、乳搾り体験やバター作りなどが楽しめる体験型牧場として、年間40万人以上が来場する人気施設。飼育する牛90頭のうち搾乳牛50~60頭から年間330tを搾乳し、牧場内で製造する「高千穂牧場牛乳」をはじめフレッシュな生乳を使用したオリジナル商品を販売している。また排泄物をメタン発酵させて発電する「バイオマスプラント」では、1日に5~6tの処理能力を持つ家畜糞尿処理施設で30 kw/時の発電を行うなど、循環型の酪農を目指している。

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