大塚製薬は、12日から「ポカリスエット リターナブル瓶」(250ml)を循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」を利用し、イオンとイオンスタイルで販売を開始した。
一定金額を預かり金(デポジット)として販売価格に上乗せし、製品(容器)を返却すると預かり金が戻るデポジット方式を採用しており、環境への意識が高まる中で、こうした動きは他業界及び他流通にも波及しそうだ。
店頭でデポジット金額(70円)を含めた価格(税抜230円)で製品を購入し、飲用後に空容器をLoop専用ボックスで二次元コードシールを発券して容器に貼り付け、それを「Loopアプリ」でスキャンすることで後日アプリ残高に反映される仕組みになっている。
回収された空容器(リターナブル瓶)は、Loopの委託先倉庫に輸送され、選別された容器は委託先で洗浄。その後、大塚製薬が空容器に「ポカリスエット」を充填する。充填、洗浄は富士ボトリング(本社:神奈川県足柄上郡)が担っている。
Loop導入の理由について、大塚製薬の原康太郎ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーは「ポカリスエット」がチャレンジ要素の強いブランドであることを踏まえ「ペットボトルとは異なる容器を検討する中で、瓶の循環型モデルとLoopさま、イオンさまの動きとタイミングが一致し新たなビジネスモデルとして参画した」と説明する。
リターナブル瓶には1回の使用毎に線(スカフィン)が刻まれ、基本的には20回位を目安としているが、刻まれた線の深さや瓶の汚れ等により粉砕を判断する。
形状は丸みを帯び、ガラス特有の口を当てた時のソフトでひんやりとした感触が特徴。安全性を考慮してレトロ感のある王冠を採用した。
デザインは1980年に発売した245ml缶を踏襲。2本のサーフラインを採用し「ポカリスエット」らしさにこだわった。
「価格は、何度も使える耐久性を担保とし、回収、洗浄のコストを考えて決定した。割高感を感じる人もいるだろうが、まずは現価格で展開し、その後の反応もみながら柔軟に対応する」。
一方、循環型社会の実現に向けては「これで循環型モデルが完結するとは思っていない。瓶の形状や容量など様々な取組みも含めて検討し、更に進化させる」と意欲をのぞかせる。
イオンリテールの森清智之MD改革本部商品戦略部部長は「自治体からの問合せが多く、環境意識の高いエリアから展開し、来年2月までに中・四国など100店舗に拡げたい。値段が高いなどハードルは高いが、今回の『ポカリスエット リターナブル瓶』は、かわいらしくオシャレな容器だけにお客様は楽しんで参加できハードルは下がる。楽しみながら地球環境のことを考えるのに適しており他の流通業にも広がってほしい」と期待を寄せる。
Loop Japan合同会社のエリック・カワバタ代表は「Loop は2019年から世界5か国で展開している。スケールが拡がれば単価が低くなり、再利用回数が増えれば容器が安くなる。他の飲料メーカーさまにも採用を促したい」と述べる。