カネス製麺 新社長・内山修明氏40代の実力派 神明での経験生かしデジタル戦略強化へ

長年にわたり社長を務めた大谷聖会長よりバトンを引き継ぎ、5月30日に就任した。40代半ばでグループ会社の神明で役員に就いた実力派だ。

カネス製麺(兵庫県たつの市)は、兵庫県手延素麺協同組合の生産組合員兼地元特約店として、播州そうめん「揖保乃糸」の生産と卸売りに携わる。また、うどんやそばなど自社オリジナル乾麺も多数手がけており、原料にこだわった本格派から、親しみやすいキャラクター製品、健康基軸の乾麺など、アイデアを生み出す力とその商品力に定評がある。

カネス製麺常務に就任した2020年は、家庭で過ごす機会が増えて乾麺業界全体が特需に沸いた。しかし翌21年はその反動でほとんどの企業が苦戦。特需裏年で仕方がないと諦めムードが漂うなか、同社は前年を上回る好業績を残して注目を集めた。早々に営業スタッフを増員、新規開拓を強化して対策することで、一過性の盛り上がりに終わらせずにベースアップを図った。同時に社内組織も見直し、生産体制の増強と効率化にも取り組んだ。

「大谷会長の秀でた会社経営力に、自身が強みとする営業力を生かし、好調を維持できた」と内山社長は話す。スポーツの世界に限らず会社経営も、営業や販促強化というオフェンス(攻撃)とバックオフィスを固めるディフェンス(守備)の適正バランスが必要だという。

社長就任にあたり「価値の高い商品をお客様に届けよう」と社内に発信した。企画開発、生産、品質管理、営業など各部門にかかわる社員それぞれがプロ意識をもち、部門間のコミュニケーションを高め、安全安心な商品づくりと商品価値の向上を目指す。

その価値を取引先や消費者にていねいに伝えていきたいと、神明の食品事業で培った経験を生かしてデジタル戦略を強化。情報発信のための土台を構築したのち、神明グループで総菜宅配を営むショクブンの栄養管理士の活用や、雪国まいたけとの取り組みを展開するなど、グループシナジーを取り入れ他社との差別化を図る。

次の目標は、大谷会長が築いた文化とチャレンジ精神を引き継ぐことだ。さらなる販路拡大、社内改革、若手育成など、積極的に取り組みたいことが山積する。「失敗を恐れずに一つ一つ挑戦したい」と強い使命感に燃える。

【略歴】内山修明氏(うちやまのぶあき)=昭和49年4月11日生まれ、48歳。平成11年4月㈱神明入社、27年4月グループ商品本部東日本販売課長、平成29年4月グループ商品本部食品部長、30年10月㈱神明 執行役員食品・米関連事業本部食品部長、令和2年5月カネス製麺常務取締役、3年5月同社専務取締役、4年5月より現在に至る。趣味はゴルフと野球観戦、美味しいお酒を楽しむこと。