サントリー食品インターナショナルは今年、「伊右衛門」本体(緑茶)で新たに博多大吉さんと木村佳乃さんを起用したコミュニケーションを展開している。
「伊右衛門」本体の今年のテーマは“緑の価値化”。その伝達役としては博多大吉さんに白羽の矢が立った。
取材に応じた多田誠司SBFジャパンブランド開発事業部部長は「20年と21年には淹れたての緑茶のような鮮やかな緑の水色(すいしょく)をアピールし、これについては一定のご理解をいただけたと思っているが、“なぜ鮮やかな緑だとよいのか?”という認知に留まっている層がいることが分かった」と振り返り、今年は“淹れたてのような緑はおいしい”ことを最優先してアピールしていく。
TVCMは、3月から本木雅弘さん・芦田愛菜さん・博多大吉さん・木村佳乃さんが出演する「伊右衛門の会」2篇と芦田愛菜さんが出演する「こんな緑にやっと出会えた」篇の合計3篇を放映。
このうち「伊右衛門の会」2篇では「まだ『伊右衛門』を飲んでいただいたことのない40‐50代男性のメインターゲットの代表として博多大吉さんに飲んでいただき、そのおいしさを伝えていただいている」。
商品面では、“もっとおいしい淹れたて緑へ”をキーメッセージに中味・パッケージと緑の水色に磨きをかけて3月1日にリニューアル発売した。
「よりきれいな緑の水色を目指すとともに、よりおいしく、お茶らしい味わいを高めようと春のリニューアルのタイミング以外にも中味を少しずつブラッシュアップしている」という。
見ただけで分かる工夫として、ラベルをはがす楽しみも強化。
ボトル容器(525ml・600ml)の4面に、丸茶マークと招き猫、亀、だるまの縁起の良い絵柄を引き続きあしらったほか、リニューアルを機にラベルの裏側の8種類の絵柄をすべて新デザインに差し替えて「いつもはがしてくださっている方に、少しでも楽しんでもらえるようにした」。
おみくじを入れて剥がしたくなる仕掛けと糊の改良で剥がしやすさも追求。
「『伊右衛門』にとってラベルは重要で、ラベルレスだけではなく、剥がしやすさでもSDGsに貢献できると考えている」。
新しい工夫としては、キャップにもイラストを配した5種のアソートキャップを新たに導入した。
ラベルレス商品の「伊右衛門 ラベルレス」は、タックシールをつけた単品販売を拡大。昨年のコンビニでの数量限定発売と一部スーパーでのテスト展開を経て、今年3月1日からスーパー・ドラッグストア・ホームセンターなどの専門店向けにも数量限定発売している。
サントリーではラベルありのレギュラー商品とともにラベルレス商品を店頭で単品販売している。
「ラベルがないことに少し不安に感じられるお客様もいるため、必ずラベルあり商品とセットで置いていただいている。
テーマである“緑の価値化”に加えて、棋士の藤井聡太さんを活用して新規ユーザーの取り込みも図る。
4月19日には、藤井聡太さんが中味開発を監修した緑茶飲料「伊右衛門 心冴える勝負の緑茶」をローソンで数量限定発売した。
「伊右衛門」ブランドでは今年、トクホの伊右衛門「特茶TOKUCHA」に最注力。続いて本体・「伊右衛門 京都ブレンド」(以下、京都ブレンド)・「伊右衛門 濃い味」(以下、濃い味)の3品を柱と位置づけて強化していく。
この中で「濃い味」は今年2月1日、茶カテキンの力で内臓脂肪を減らす機能性表示食品としてリニューアル発売したところ「スーパーで配荷が拡大し5月現在までで前年比2.5倍以上で推移している」。
「濃い味」は緑茶飲料市場の昨今のトレンドにも合致。
「その分、『伊右衛門』を含め主要ブランドのレギュラー品が濃い系にシフトしている。濃い系が伸びている背景としては、健康だけで支持されているのではなく、通常のお茶に健康の価値がついている点にある」との見方を示す。
機能性表示食品「伊右衛門プラス」シリーズも強化していく。
同シリーズから2019年に第一弾として「コレステロール対策」、20年には第二弾として「おいしい糖質対策」を発売。これに続いて今年2月22日には第三弾として「血糖値対策」を新発売した。
トクホ・機能性表示食品を除く「伊右衛門」ブランドは21年、前年比二桁増を記録。昨年4月に新発売した「京都ブレンド」が純増となったほか本体もプラスで着地した。今年もさらなる成長を目指す。