アーモンドミルク(アーモンド飲料)市場が昨年9月に放映されたTV番組「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)で市場規模が約1.5倍に拡大し現在も高い水準で推移している。
アーモンドミルク研究会によるとアーモンドミルク市場は昨年、販売金額は48%増の148億円、販売量は37%増の3万KLとなった。
市場の9割強のシェアを握る江崎グリコの「アーモンド効果」はTV番組効果で9-12月の販売個数は前年同期比約1.6倍記録した(出典:インテージSRI+)。通年では約1.3倍の伸びになったとみられる。
シェア2番手以降もTV番組の恩恵を受ける。
ポッカサッポロフード&ビバレッジの「アーモンド・ブリーズ」は昨年、約1.3倍に拡大。マルサンアイの「毎日おいしいローストアーモンドミルク」は、昨年10月から3月までの第2四半期に約1.7倍となった。
TV番組による需要急増で「アーモンド効果」と「アーモンド・ブリーズ」は供給が追い付かず一時休売に陥った。
「アーモンド効果」は、11月29日に「薫るカカオ」「香ばしコーヒー」「 ほろ苦キャラメル」の200ml3品と「3種のナッツ」1L1品の計4品を休売し、増産を図りながら「オリジナル」「砂糖不使用」などのメインアイテムの生産量を上げて供給し続けていった。
供給体制を整えて4品が再発売されたのは今年2月28日で、現在は、需要急増の状態から落ち着きを取り戻し2ケタ前後で成長を続けている。
「アーモンド・ブリーズ」も、放映後約4カ月間、需給調整しながら思うように供給できない状態が続き供給体制が整ったのは年明け後。再発売後も引き続き高い水準で推移している。
2ブランド共通の販売動向としては1Lタイプの高い伸びが挙げられる。
「アーモンド効果」は21年、数量ベースで1Lシリーズが約1.5倍、200mlシリーズが約1.2倍となった。
家族シェアという点でも1Lの果たす役割は大きいという。
江崎グリコ健康事業・新規事業マーケティング部の折原唯氏は「家族シェアは年々増加している。1Lが家庭内に入ることでパートナーや子どもも愛飲するようになったというお声が聞かれるため、家族を味方にすることが1Lの成長には欠かせない」との見方を示す。
「アーモンド・ブリーズ」もアイテム別では1Lが絶好調で、昨年は2倍以上の伸びをみせた。中でも「砂糖不使用」の伸びが著しく、その要因については牛乳のように飲める点を挙げる。
「砂糖不使用」について小笠原千春レモン・プランツミルク事業本部プランツミルク事業部商品戦略グループグループリーダーは「当社の中では一番差別化された商品。低カロリー設計で200ml当たり1日分のビタミンE配合しているほか、牛乳とほぼ同等量となる200ml当たり1食分のカルシウムが摂取できる。牛乳のようにゴクゴク飲めて、コーヒーなどに混ぜてもコーヒーの風味を邪魔しない点がおそらく家庭内で受け入れられている」と説明する。
一方、「アーモンド効果」のアイテム別では、「3種のナッツ」の好調が特筆すべき点となる。
「柱である『オリジナル』と『砂糖不使用』を中心にブランドを盛り上げていこうとしている中で、『3種のナッツ』が半年くらい前から強くなった印象で、『オリジナル』と同じくらいの好回転となっている」(江崎グリコ・折原氏)と述べる。
これには「3種のナッツ」の1Lを一時休売としたものの、200mlの販売を継続し消費者との接点を保ち続けてきたことも寄与したとみられる。