キリンビバレッジ 「ワンデイ ブラック」に注力 嗜好性と止渇性のバランスで差別化

 キリンビバレッジは「ファイア」でPETコーヒー「ワンデイ ブラック」に注力し19年販売計画で掲げる前年比8%増の2400万ケースを目指していく。

 増田健志マーケティング本部マーケティング部商品担当主任は今後の方向性について「既存商品で前年を維持しながら新商品『ワンデイ ブラック』で増分を狙っていく。『ファイア』ブランドが発売20周年を迎える秋には、既存商品のリニューアルなどを考えている」と語る。

 「ワンデイ ブラック」は、ブラジル産コーヒー豆を100%使用した無糖のブラックコーヒー。コーヒー感と飲みやすさを両立させて常温でのおいしさにこだわった。発売日は4月2日。採用状況は上々で「コンビニ様、量販店様、自販機でもよい反応をいただいている」という。

 時間をかけてコンセプトづくりを行った上で中味開発に着手したのは17年末。
 「しっかりとコーヒーの嗜好性を出しながらスッキリ飲みやすくした。最初は水っぽいという反応があったので、その反応が出てこないように嗜好性と止渇性のバランスに悩みながら試行錯誤を重ねてつくっていった」と山中進マーケティング本部マーケティング部商品担当主任=写真左=は振り返る。

 容量はチビダラ飲み需要に応える600mlの大容量ボトル。時間をかけて飲まれることを想定し常温での味わいも追求。「常温をかなり意識した。最初に飲んだ瞬間においしく思ってもらい、それが最後までしっかり続く印象を持ってもらうことで“また買いたい”と思ってもらえる商品を目指した」。

 ターゲット層は若年層。「社会人になるとコーヒーを飲む機会が増えてくるが、その際、苦味に慣れておらず、コーヒーが少し苦手な方にも飲みやすい設計になっている」。 

 飲用シーンは、オフィスでのチビダラ飲みをメインに想定しいているが「スポーツ後やアウトドアシーンでも飲んでもらいたい。カバンの中にも入りやすく移動中にも適している」とし、その思いを商品名に込めた。
 「ワンデイは直訳すると“ある日”。“いつでも、どこでもおいしく飲める”をコンセプトにしているが、“一日中”と捉えていただいてもそんなにズレはない」と説明する。

 パッケージは、銀色を前面に押し出しスタイリッシュなデザインに仕立てた。「マイボトルユーザーを意識したわけではない。マイボトルユーザーが増えているのは、コップ付きのものから、そのまま口をつけて飲むスタイリッシュなものやデザイン性を高めたものが出てきたからで、デザイン要素としてそこから学ぶべきところが大きいのではないかと考えた」。

 コミュニケーションは新タレントを起用し「とにかくシンプルで分かりやすく伝えていく」。

 店頭施策はコンビニではPETキャリーのベタ付け品を数量限定で発売し、量販店では3本購入するとLINEポイントが100ポイントもらえる施策を展開していく。コンビニではPETキャリーのベタ付け品が無くなり次第、LINEポイントキャンペーンに移行していく。

 ショート缶は引き続き「挽きたて微糖」に注力していく。ショート缶市場が縮小する中、昨秋のリニューアル以降、自販機で回復の兆しがみられている。
 「10、11月頃からコラム(カバレッジ)を維持できているところでは回転がだいぶ改善してきている。『挽きたて微糖』に注力したため、他のショート缶のカバレッジは下がってしまったが、カバレッジが維持できた『リフレッシュ ブラック』が回復している」(増田主任)と説明する。

 缶コーヒーのコミュニケーションは、女優の石田ゆり子さんを継続起用していく。昨年は、TVCMほか交通広告、WEBで6秒間の動画広告(バンパー広告)を展開したところ「ブランド好意度が上がり購入意向に結びついている」という。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)