ペットボトルは何度も循環できる環境にやさしい貴重な資源 分別・回収を促しサステナブル化技術に磨きをかけるサントリー食品インターナショナル

 ペットボトル(PET)はゴミではなく、適切に分別・回収すれば何度も循環できる貴重な資源――。

 日本・欧州・アジア・豪州・米州で飲料事業を展開するサントリー食品インターナショナルは、このことを知らしめPETの分別・回収を促すためのコミュニケーションを強化するとともにPETの100%サステナブル化をグローバルで加速させる。

 PETの100%サステナブル化は、サントリーグループが掲げる2030年までの目標。
 日本では3年前倒しのペースで進捗し、昨年、国内全PET重量で100%サステナブルボトルが占める割合は37%に達した。
 今年はその比率を50%に引き上げるとともに、ラベルにPETが資源であることを伝えるロゴマークを新たにあしらうなどして消費者啓発を強化していく。

 28日会見した齋藤和弘社長は「PETがゴミではなく貴重な資源という意識を持っていただきたい」と訴える。

 100%サステナブルボトルは、そのほぼ全てがリサイクル素材で構成され、残り数%を植物性素材が補完している。
 これについては「できれば100%リサイクル素材でやりたいが、1ケタ前半のパーセンテージで欠減が出てくるため、その欠減部分に植物性素材をあてている。植物性素材とはいえ、原料から成形するよりもリサイクルのほうがエネルギーロスは低いためリサイクル素材を優先したい」と述べる。

 この見方の下、使用済みPETを再び同じ用途で使用可能なPETに戻していくボトルtoボトルの水平リサイクルを推進していく。

 「ボトルtoボトルは新たな石油由来原料を使わずに済む。原油を日本に運ぶだけでも相当エネルギーを使う。加えてボトルtoボトルではPETの再生に要するエネルギーが極めて低い。(溶融温度は)PETが200℃強で、缶は700℃弱、瓶は1500℃程度」と説明する。

FtoPダイレクトリサイクル技術の仕組み - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
FtoPダイレクトリサイクル技術の仕組み

 水平リサイクルの推進にあたり、日本のような分別・回収率の高いエリアでは、「FtoPダイレクトリサイクル技術」を活用していく。

 同技術は、18年に協力会社と開発したもので、メカニカルリサイクル(物理的再生法)のプロセスの一部を省き2回の溶解を1回にすることによって一層の環境負荷低減と再生効率化を実現する。

 一方、分別・回収率が低いエリアではケミカルリサイクル(化学的再生法)で対応する。

 これはPET樹脂の原料・中間原料まで分解・精製したものを重合して新たなPET樹脂とする技術となる。

 サントリーは欧州で、特別な酵素で原料を分解して、色付きPETも再生可能にするケミカルリサイクルの新技術をフランスのベンチャー企業との協働で編み出した。

 この酵素技術を活用したケミカルリサイクルは世界初の試みで、昨年、デモプラントを立ち上げて25年をめどに商業プラントを稼働する。PETの安全面を検証するさいに日本の技術を取り入れていく。

100%サステナブルボトル - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
100%サステナブルボトル

 アジアでは、日本で長年培ったPETの軽量化技術を積極的に展開。タイやベトナムではPETの回収・資源化の機運もみられることからFtoPダイレクトリサイクル技術の海外展開も視野に入れる。「アジアのほうが案外一気に進むかもしれない」と期待を寄せる。

 今後については、積極的に投資していく考えを示すとともに競合企業との協働を呼びかける。

 「(競合との)話し合いはもちろんなされている。FtoP技術や今回のマークも使っていただけるのであれば、使っていただいて一向に構わない。良質なPETを求めて競争が起きてしまうということは想定されるが、資源化の総量が増えれば解決できコストも下がるので前向きに捉えている」との見方を示す。

 なおプラスチック素材にはPETのポリエチレンテレフタレートほか、レジ袋に代表されるポリエチレンやタッパーのポリプロピレン、発泡スチロールのポリスチレンなどがある。

 この中でPETの特性について「汎用性が高くリサイクルでも非常に使いやすい。飲料容器としては軽くて丈夫で割れない。それだけではなく低いエネルギー量でボトル成形できるなど多くのメリットがあり大変優れている」と語る。