コーヒーの未来を水素が救う? UCCが小学生向けのSDGsセミナーを開催

 UCCジャパンは7月から8月にかけて、小学生とその保護者を対象に、コーヒーを通して社会課題やSDGsを学べる無料セミナーを開催した。

 小学生がコーヒーや水素を知るきっかけを作るとともに、それらにプラスのイメージをもってもらうことが主な狙い。

 対象は小学4年生から6年生とその保護者。8月8日、UCCグループ東京本部(東京都港区)で開催されたセミナーには、小学生と保護者7組14人が参加した。

 セミナーでは、焙煎前後のコーヒー豆の実物を見せながら、1杯のコーヒーが作られるまでに多くの過程を経ていることを解説。地球温暖化によってコーヒーの栽培適地が減っていることから、地球にやさしいエネルギーとして水素があること、水素とはどのような元素なのかを紹介された。

配布資料や焙煎前後のコーヒー豆
配布資料や焙煎前後のコーヒー豆

 水素エネルギーの活用の実例としては、水素を熱源として焙煎した豆を使ったボトル缶入りコーヒー「UCC 水素焙煎コーヒー エチオピア G1 イルガチェフェ地方産」を配布。夏休みの自由研究に活用できる資料も配られた。

 講師役を務めたのは、UCCジャパンサステナビリティ推進本部サステナビリティ推進室係長の願能千瑛さん。

 「知識としてしっかり覚えてもらうというよりも、水素っていいな、UCCはそういう取り組みをしているんだな、と感覚的に良いイメージを持ってもらうことを目標とした。さらに、環境問題について改めて考え、電気をつけっぱなしにしないなどのアクションにつなげてもらえたらより嬉しい」と語る。

 同社は、2023年から小学生向けのSDGsセミナーを開催。今年は、4月から水素焙煎コーヒーの量産を開始したことを踏まえ、水素に関する内容を初めて加えた。

 水素について取り上げるにあたり「当社はコーヒーのことは語れるが、水素について話したり質問に答えたりするのは難しかった」ことから、セミナーのスペシャルゲストとして、川崎重工業が初めて招かれた。

左から川崎重工業の黒田梨紗子さん、UCCジャパンの願能千瑛さん
左から川崎重工業の黒田梨紗子さん、UCCジャパンの願能千瑛さん

 セミナーに登壇した、川崎重工業の水素戦略本部企画部コミュニケーション課の黒田梨紗子さんは「今回のセミナーは当社にとっても大きなメリットがあった」と振り返る。

 黒田さんは「水素が社会に出回るのが、2040年から50年頃と予測されている。そのため、その頃大人になっている、今の小学生達に水素について親しんでもらいたいと考えていた。今年度から子ども向けの啓発活動を検討していたところ、UCCさまからご招待いただいた」と述べる。

 UCCと組むことにも大きな意義があったという。

 「当社は、水素に関する子ども向けセミナーのノウハウがなかった。さらに、当社の事業は業務用が中心で生活に身近ではないため、親しみをもってもらうことに難しさを感じていた。そこで、セミナーのノウハウがあり、実際に皆さんが口にできる商品を作っているUCCさまと組めるというのはとてもいい機会だった。セミナーを通して、エネルギーや水素を身近に感じてほしい」と笑顔を見せる。

 UCCは今後も、小学生向けのセミナーを継続して強化する方針。

 願能さんは「一社だけでは難しいこともあるため、同じ志を持っている企業さまや自治体さまとのコラボレーションで発信を広げていきたい。小学生をメインターゲットに、今後もセミナーを行っていく」と意気込みを語る。

 セミナーは7月から8月にかけ、UCCグループ東京本部・UCCグループ神戸本社(兵庫県神戸市)の2カ所で全9回行われた。事前申込制で、先着の小学生と保護者95組190人を募集した。