ナックス 売上高2000億円を突破 国分グループ入り10年で倍増

国分グループの冷凍卸ナックスの24年度業績は売上高2077億円(前年比6.2%増)、経常利益16億6000万円(同3.1%減)で着地した。売上高は過去最高を更新し、国分グループの第11次長計にあわせて策定したナックス独自の長計で掲げた売上高2000億円を1年前倒しで達成した。7月18日に開いた全国NN会で中村典正社長が報告した。

ナックスは2016年に国分グループ入り。資本構成は国分グループ本社51%、丸紅49%。当時の売上高は1000億円弱。国分グループの冷凍卸事業拡大の一翼を担い、19年に西日本エリアにおけるイオングループとの取り組み拡大を始め、順調に業容を拡大。冷凍食品、アイス、惣菜デリカを3本柱に10年間で約2倍の成長を達成した。

3月28日付でナックス社長に就任した中村氏は、前身のナックスナカムラ創業者で故中村博一氏の次男。すでに多くが現役を退いたが、冷凍食品流通のパイオニアである故中村博一氏に育てられた歴代メーカートップは多い。

全国NN会の席上、中村社長は第一声で「私がこの場に立つのは10年ぶり。正直このような日が来るとは思っていなかった」と振り返ったうえで、「株主である国分グループ、丸紅、そして取引先メーカー各社にあらためて感謝を申し上げる。冷凍食品、アイス、惣菜業界の発展に尽力する」と決意を語った。

前期業績について中村社長は「目標の売上高2000億円を達成したが、利益面では物流費や人件費の上昇が響いた」と説明。24年度カテゴリー別売上高は市販用冷食974億円(7.7%増)、アイス・冷菓286億円(7.7%増)、惣菜694億円(4.2%増)、ベーカリー86億円(9.4%増)、その他36億円(9.4%減)。

市販用冷食、アイスは市場拡大と単価上昇に加え、得意先との取り組み拡大が進んだ。惣菜ではインストア向けに加え、PC/CK向けの原料供給への対応も成果を挙げた。

今期の活動方針は▽イオングループ各社とのさらなる取り組み強化▽リージョナルスーパーとの新規取引拡大▽ナックスオリジナル商品の開発着手▽物流費の適正価格交渉と価格転嫁▽デジタル化推進と戦略領域のパワーシフト。

物流投資では、2月に鹿児島DC、4月に松山DCを新設。26年には静岡DC、春日DCの新設を予定しており、得意先の拡大と物流課題解決に向けた拠点整備を進める。

リージョナルスーパーとの取引拡大では、9月から首都圏における新規の取引開始が決まっており、今後も取り組みを強化する。

上期(1-6月)は市販用冷食2.1%増、アイス2.5%増、惣菜1.3%増、ベーカリー7.5%増、その他0.7%減。半期で売上高1000億円(2%増)をクリアし順調に推移。

国分グループは今期、第11次長計最終年度を迎えるとともに、低温事業では「低温マスタープラン2030」を策定。

今後の方針について、中村社長は「ナックスは国分グループの低温フレッシュデリカ事業における冷凍カテゴリーの中核企業であり、国分フレッシュ・フードトランスと協業し、低温事業をグループの柱事業に成長させていく。専業卸として顧客満足度№1を目指す」と語った。