コーヒーが飲める今のあたりまえは将来のあたりまえではない UCCがイラストでサステナブルな調達の必要性をわかりやすく伝達

 将来にわたりコーヒーが飲めるようにするには、気候変動対策と生産者支援に配慮したサステナブルなコーヒー調達が欠かせない。

 この認識のもと、UCCジャパンは2022年、「2030年までに自社ブランドを100%サステナブルなコーヒー調達にすること」を目標のひとつに定め、独自基準を満たしたサステナブルなコーヒー調達の際には、「プレミアム」という支援金を上乗せして購入している。

 支援金は、認証団体や商社を通じて気候変動対策と生産者支援に充てられている。

 コーヒー価格が高騰する中、プレミアムを上乗せして調達している分、少々割高なサステナブルなコーヒー製品について生活者が趣旨を理解し積極的に選んでもらうのが、UCCが描く青写真。

 UCCでは、サステナブルなコーヒー調達に関する独自基準を満たした製品にハートマークのオリジナルロゴをデザイン。その数は24年時点で家庭用・業務用・外食含めて53品のUCCブランド。 25年に80品程度への拡大を見込む。

新コミュニケーションのキービジュアル
新コミュニケーションのキービジュアル

 目標達成への鍵となるのが生活者の理解となる。

 6月24日、一層の理解促進を図るべくイラストを多用して視覚に訴える新コミュニケーションを開始した。

 新コミュニケーションのキーメッセージは「コーヒーのある、あたりまえをこれからも。」。
 これに込めた想いについて、この日、取材に応じたUCCジャパンサステナビリティ推進室の中村知弘室長は「あえて“あたりまえ”という言葉を用いることで、“あたりまえ”であるために何かコーヒーで取り組まなければならないといったことや、こんなことは避けなければならないといったことが腹落ちしやすくなると考えた」と語る。

 新コミュニケーションの専用サイトでは、UCCが定めるサステナブルなコーヒー調達のための26のチェック項目のうち7項目をイラスト付きで解説。

イラスト付きで解説される7項目
イラスト付きで解説される7項目

 7項目のうち4項目が環境に関する内容、残り3項目が人権に関する内容となる。各項目とも視覚に訴えるべく、メッセージとともに涙目の地球や動植物、人間が描かれている。

 「このまま気候変動が進み、生産者に適切な支援をしていかないと、転作や土地の放棄でコーヒーが将来飲めなくなる可能性があることをお伝えしたい。人権への配慮では特に強制労働や児童労働の禁止、生産者の所得を担保していくことも大事。このことを伝えるには、キーメッセージ以外、ビジュアルを用いようと考えた」と説明する。

 新コミュニケーションは、専用POPを用意して店頭でも行っていく。

 Xでは6月30日までプレゼントキャンペーンを実施している。
 キャンペーンは、UCCの公式アカウントをフォローし、対象の投稿を引用リポストすると、サステナブルなコーヒー調達で作られたリキッドコーヒー「UCC GOLD SPECIAL PREMIUM ナッツビート 無糖」「同 フルーティウェーブ 無糖」の2本セットが当たる内容。
 引用リポストの際は、「コーヒーのある、○○○○○をこれからも。」の○を回答の上、「#UCCのサステナビリティ」の文言が必須となっている。

 「生活者の方を巻き込み、認知度向上を図る。“あたりまえ”ということに気付いていただきたいと考え、このような形にした」という。

 将来的は、高付加価値商品だけでなく「ゴールドスペシャル」「職人の珈琲」といった主力ブランドでも、サステナブルな調達を行った原料の使用を計画している。

 2050年には高品質なコーヒーのために使用されている土地の約半分が非生産的なものになると言われ、将来にわたりコーヒーを安定的に調達するためには、気候変動への対策や生産者の生計改善への支援・生産性維持などの取り組みが急務とされる。

 UCC調べによると、世界のコーヒー生産量のうち約80%は、家族経営などの小規模生産者によ って生産され、70カ国以上にわたり1億2500万人がコーヒーで生計を立てている。