9 C
Tokyo
8.1 C
Osaka
2025 / 12 / 30 火曜日
ログイン
English
トップニュース大手食品メーカー 上場20社、営業利益計1%増 コスト上昇、減益9社に 3月期業績

大手食品メーカー 上場20社、営業利益計1%増 コスト上昇、減益9社に 3月期業績

大手食品メーカー(上場企業)の2025年3月通期の決算が出揃った。20社合計の営業利益は0.9%増とかろうじて前年を上回ったものの、一連のコスト上昇や海外相場の変動などが足かせとなり、減益が9社(24年3月期4社)に増えた。今期も厳しいコスト環境が予想され、米国トランプ政権の関税政策が海外原材料や各国景気に与える影響を懸念する声も少なくない。

トップの味の素社は売上高、事業利益ともに新記録を更新。主力の調味料・食品セグメントは増収増益。ヘルスケア等セグメントは電子材料等の寄与で3割増益(74億円増)と拡大、冷凍食品は国内が原材料高で苦戦。

日本ハムは増収減益。食肉事業の販売価格上昇や豪州牛肉の生産拡大で増収だったが、国産鶏肉生産部門の収益性悪化や輸入食肉の販売苦戦、フード販売の価格転嫁の遅れが利益を押し下げた。

明治ホールディングスは売上の約8割を占める食品セグメントが2.8%増収、0.5%増益。原材料コストの大幅上昇を価格改定等でカバー。

製粉大手は輸入小麦の政府売渡価格が2期連続で引き下げられたことから業務用小麦粉の価格改定を実施、出荷数量は堅調ながら減収要因となった。日清製粉グループ本社は製粉事業、食品事業が伸び悩んだ一方、中食・総菜事業は増収増益。ニップンは食品事業が冷凍食品を中心に好調で二ケタ増益と続伸した。

水産・冷食大手は3社とも売上高、営業利益が過去最高。マルハニチロは食材流通セグメントと加工食品セグメントが好成績。ニッスイは食品事業が増収増益で牽引し、ファインケミカル事業と物流事業も利益が好転。ニチレイは冷凍食品を中心とした加工食品事業が7%増収、8%増益で牽引、第4四半期に発生した一過性のマイナス影響を吸収した。

即席麺大手の日清食品ホールディングスは売上収益、既存事業コア営業利益が最高を更新。国内の即席麺や菓子・飲料が牽引役となった。東洋水産は即席麺トップシェアの北中米で環境変化がありながらも二ケタ増益。

キッコーマンは主力の海外が続伸。売上収益が8.5%増で構成比8割弱、事業利益が7.3%増で同約9割となった。

不二製油は大幅な減益だが、カカオ豆の調達価格上昇および関連費用の増加で採算が悪化。日清オイリオグループは、価格改定が当初想定より遅れ、オリーブオイルの原価上昇も減益要因。

25年度予想は20社合計で3.4%増収、7.7%増益。引き続き厳しいコスト環境が予想され、先行き不透明ながら米国トランプ政権による関税政策の影響を懸念する声も聞こえる。事業ポートフォリオの最適化や地政学リスクへの対応が一段と重要性を増しそうだ。

食品メーカー3月期連結決算 売上高上位20社

関連記事

インタビュー特集

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。