持続可能な物流構築へ 業界の垣根を超えて結束 「チルド物流研究会」発足

チルド食品を取り扱う食品メーカー9社は、今後のチルド食品物流のあり方を協議・検討する目的で「チルド物流研究会」を発足した。メーカー・流通・物流事業者が一丸となって持続可能なチルド食品物流の実現を目指す。

参加するのは伊藤ハム米久ホールディングス、日清食品チルド、日清ヨーク、日本ハム、プリマハム、丸大食品、明治、森永乳業、雪印メグミルクの各社。

10月7日の合同会見で、雪印メグミルクの岩橋貞治取締役常務執行役員は最優先課題である「リードタイムの緩和」について「小売の個社同士ではなかなか話が進みにくい現状がある。当研究会で業界団体と双方の状況を理解・協議し、合意を得た内容について個社が流通ごとに交渉していくスキーム」と説明。続けて「今回の取り組みはメーカーの一方的な権利主張ではなく、食の持続性という社会課題解決に向けたもの。将来のサプライチェーン維持の観点からもメーカー・小売・お客様それぞれに意義のある取り組み」との認識を示した。

研究会は業界間の物流のあり方をSM団体、その他産業・団体、エリア物流研究会などと相互に協議する役割を担う。今後取り組むべき課題に

①納品条件の緩和
②ドライバー付帯作業削減
③輸配送効率化
④標準化・システム導入による効率化

――を掲げ、2030年度を「将来にわたって持続可能なチルド物流実現」の一旦の完成期と位置付ける。

「物流2024年問題」を抱えるなかでも、食肉加工品、乳製品、生麺、ピザなどのチルド食品は「一般的に0~10度で保管・流通」「賞味期限が短い」「納品リードタイムが短い」「多頻度少量配送」など賞味期限の短さや冷蔵保管の必要性で特有の課題がある。

日清食品チルドの安田隆行取締役営業本部長は、「現在、小売業への納品は午前から昼過ぎに注文を受けた後、数時間後には配送拠点を出発し、その日のうちに各小売業の物流センターに納入し翌日店舗に届けられる。注文を受けてから納品まで4時間ほどしかない場合もあるなど、短いリードタイムによって商品の安定供給が徐々に困難になってきている」と説明。

そのうえで「納品リードタイムの延長」を実現することで、配送車両を手配する時間的な猶予が生まれ、計画的な在庫管理が可能となり、欠品リスク低減につながり、共同配送の可能性も広がるとした。そのほか「365日納品の見直し」「発注単位をバラ発注からケース単位に変更」によるドライバーの検品作業削減や保管倉庫作業員の負荷軽減も目指す。

「付帯作業の削減」は、一部の物流センターで昔から行われているドライバーによる仕分け作業、庫内積み替え・移動作業などを削減し、本来の業務である配送時間を確保する。

「共同配送の推進」は、共配拠点を共同で活用し、同じ方面への納品先への納品を一つのトラックに混載して配送することを目指す。各社拠点から他エリアの各社拠点まで大型トラックなどで輸送する幹線輸送についても共同化を検討する。

「標準化・システム導入による効率化」はパレット運用を推進する。現状商品を運搬する際ドライバーがダンボールやプラスチッククレートを持ち運びトラックへの積込みや納品するケースが多いが、パレットや台車を積極活用することで作業負荷軽減に取り組む。

今年度は準備期として①②の分科会を設置。25年度以降は他業界団体や行政などと連携を深めるほか、③④の分科会を設置し、持続可能な物流のあり方についてガイドライン策定を目指す。