12 C
Tokyo
12.4 C
Osaka
2025 / 12 / 03 水曜日
ログイン
English
トップニュース朝日酒造「KUBOTA GIN」 ジン市場に新規参入 自然豊かな里山を香味で表現
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

朝日酒造「KUBOTA GIN」 ジン市場に新規参入 自然豊かな里山を香味で表現

日本酒「久保田」「朝日山」で知られる朝日酒造は、蒸留酒事業に新規参入し、新ブランド「KUBOTA GIN」でジン市場に挑戦する。約5億円を投じて本社敷地内に「越路蒸留所」を新設。「自然とのつながり」をコンセプトに、ジンらしい清々しさと里山の自然を豊かな香味で表現した。将来的には酒造好適米を使ったジン作りを具現化し、新規事業を通じて地元新潟県の米農家に貢献したいとの想いも持つ。

地元コメ農家への貢献を目指す

初年度は約2万本を生産予定。まずはクラウドファンディング「CAMPFIRE」で実施しているプロジェクトの支援者に10月下旬から出荷し、11~12月頃に自社のECサイトで販売をスタート、来年1月頃から酒類販売店への展開も計画する。

細田康社長(右)と牧野恭取締役
細田康社長(右)と牧野恭取締役

このほど蒸留所の竣工式とあわせて記者会見を開催した。同社が立地する越路地域について、細田康社長は「長岡市の中心街からほど近い距離にありながら、夏にはホタルが飛び交い、秋には山の稜線が紅葉で真っ赤に染まる。その自然豊かな環境を当社は地元住民の方々とかかわりながら保全に努めてきた」と話す。「KUBOTA GIN」でも里山がもたらす四季折々の風景や香りをイメージし、くつろぎや癒しを与えられるように表現していきたい考えだ。

ジン市場を選択した理由は牧野恭取締役経営企画部長が説明。世界的に市場の成長が続いていること、原料や製法の自由度が高いことの2点を挙げた。

また細田社長は「原点は地元農家に酒造好適米を作り続けていただくためにわれわれが役立てることはないかとの想い。米の使途を増やすため、日本酒以外のアルコール飲料の製造を検討した結果がジンになった」。

「KUBOTA GIN」は、飲みやすさ、香味のバランス、二杯目が欲しくなるキレ、上質感のある見た目など、日本酒「久保田」が持つ品質へのこだわりや高級感を表現した。ジェニバーベリーやコリアンダーシードをはじめ16種類のボタニカルの中には里山を感じさせる杉の葉、ほのかな甘みが感じられる甘酒などを使用。開発にあたっては社員2人が長崎の蒸留所で約3か月間にわたり修行した。

蒸留器2器を設置、初年度2万本計画
蒸留器2器を設置、初年度2万本計画

ボトルは水面、木立、田んぼなど見る人によって印象が変わるような曖昧かつ懐かしいデザインに仕上げた。将来の海外展開を視野に、ロゴ下には「JAPAN」の文字を記載。アルコール度数47%。700㎖。価格は通常ボックスが税別5500円、ギフトボックスが同6000円。

「まずはストレートかロックで飲んでいただきたい。ジントニックやジンソーダもおすすめ。和食・洋食など様々な料理と相性が良い。香りの変化も楽しんでいただければ」(牧野取締役)。

今後に向けては季節性のある商品バリエーションなどを検討する予定。また酒造好適米の活用を促進するため、原料アルコールへの使用をはじめ、日本酒を生かした製品化の研究開発も続ける。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点