「新米、入りました」。本来であれば秋の訪れを感じるフレーズだが、今年はどうもそわそわする。新米が入荷すれば状況は落ち着くといわれても、空っぽの棚を見ると慌ててしまうのが消費者心理。店頭に潤沢にモノがあることのありがたみをあらためて感じる。
▼米の異変を感じたのは夏前。デリカの納入業者から新米の価格が高騰していると聞き、店頭では特売の米が早々に売り切れる日が続いていた。米不足が騒がれる前だったが、端境期にかけて予定の数量が手配できない状況だったのだろう。
▼大手卸の秋冬展示会では米の価格高騰対策として混ぜ飯や麺メニューでの代替提案も目立っていた。おにぎりや弁当をはじめとする米飯カテゴリーはコロナ後のデリカを牽引してきただけに、新米価格高騰の影響は大きい。
▼デリカの担当者は「これまではメニュー内容の見直しで工夫してきたが、米の値上がりは頭が痛い。外食の価格は上がってきたが、スーパーの値段には敏感で値上げは簡単ではない」と嘆く。大手コンビニの価格政策も絡み業態を超えた競争が激化している。