イオンの上期(23年2月期)連結業績は、売上高にあたる営業収益と全段階利益で過去最高を更新した。
好業績について、11日決算説明会に臨んだ吉田昭夫社長は、GMS(総合スーパー)・SM(食品スーパー)事業・DS(ディスカウントストア)事業などの小売事業が牽引役となった点を強調。
「イオンが展開する多種多様な業種業態が世の中の変化を機会と捉えたことが増収増益に寄与したと考えている。その中で今回最も増益に寄与したのが小売事業」と総括する。
小売事業の営業利益は上期、2019年度上期と比較して約3.3倍に拡大。営業利益のポートフォリオをみると、19年度上期に19%(162億円)だった小売の構成比は46%(544億円)に引き上げられた。
「コロナ禍においてディベロッパー事業やサービス・専門店事業の利益が大きく棄損したことで間接的に小売事業の利益構成比が高まった期間もあったが、今回、世の中が平時に戻った決算においても小売が安定して利益を稼ぐ収益構造が継続しつつある」と手応えを語る。
小売事業の中で営業利益を大きく伸ばしたのがSM事業で、19年度上期28億円(構成比3%)から164億円(同14%)へと拡大。
上期、SMのセグメント利益に最も貢献したのが「まいばすけっと」。
首都圏に約1000店舗を展開し、人流回復に伴い客数が大幅に増加したことに加えて、MZ世代(20~30代)向けの商品展開や業務効率化により大幅増益を記録した。
MZ世代向け商品の好例として、吉田社長は“アルコールでもソフトドリンクでもない”新感覚ドリンク「トッブバリュ クラフテル」を挙げる。
「アルコール離れをしている若者に向けたクラフトコーラとカクテルを掛け合わせた新しいコンセプトのドリンクで成果が見え始めた。大学近くの『まいばすけっと』では物凄く売れている。若年層をターゲットにしたプランド戦略によって、売れる業態に変化が出ていくということは、我々の打ち手に対してお客様が反応して下さっているということで手応えを感じている」と述べる。
業務効率化は、店内全てのレジをセルフレジにしたオールセルフレジの店舗数拡大やデータ分析による商品発注精度の向上によって推進されている。
なお上期業績は、営業収益5%増(4兆7113億円)、営業利益22.7%増(1176億円)、経常利益17.4%増(1119億円)、親会社株主に帰属する四半期純利益29.3%増(233億円)となった。