手延べそうめん商戦が最盛期を迎えた。6~8月中旬までに一年の半分近くを販売する。今春の商戦本番を前に生産者は約1割の値上げを実施したことや、その他要因も絡みスタートから荷動きは鈍い。5月までの市場は推定1割減で推移している。
乾麺業界のメガブランド兵庫県手延素麺協同組合「揖保乃糸 手延素麺上級品300g」の22年9月~23年5月累計出庫数は前年比92%となった。2月末まで2万箱(9㎏箱換算)を上回って推移していたものの、3月以降勢いは失速した。昨年11月に先行して10%の値上げを実施したことや、ゴールデンウイーク前後の天候不順、またコロナが5類に移行したことにより人の流れが外へと向き、家庭内消費がほとんどの手延べそうめんに影響した。島原、三輪、小豆島などの他産地でも同様の傾向がみられる。
手延べそうめん業界では、原料小麦や資材、エネルギー費などのコスト高騰に加え、人件費の圧迫が問題となっている。近年機械の導入が進んだが、生産工程上、まだまだ人の手に頼るところが多い。製造コストの7割近くを人件費が占め、その分価格に転嫁されているが、近隣市場の機械製乾麺の価格競争に巻き込まれることが多い。
その一方で、高齢化や後継者不足による廃業は後を絶たず、生産量を確保すること自体が厳しくなってきた。この2~3年、市場では原麺の品薄感が常態化。後継者を育てるためには、利益確保は必須となっている。
将来、生産を続けるためにも、次の値上げにつながる結果を出したいところ。今夏商戦をいかにして乗り切るか、注目が集まる。