UCC上島珈琲は、拡大するカフェインレスレギュラーコーヒー市場でトップシェアを握る「おいしいカフェインレスコーヒー」シリーズのレギュラーコーヒーとボトルコーヒー(リキッドコーヒー)を刷新する。
2月21日発表した伊藤佳世マーケティング本部嗜好品マーケティング部部長は、最大の刷新ポイントに“じっくり焙煎”と称する焙煎方法を採用した点を挙げる。
「カフェインレスコーヒーは香りや味のもとになる成分が減少してしまう傾向があるが、『おいしいカフェインレスコーヒー』では通常の焙煎方法よりも焙煎工程の後半における時間やトータルでの焙煎時間を長くすることで、コーヒー本来の甘さやコクが補われ本格的なおいしさを実現している」と説明する。
2015年の発売開始以来、インスタントコーヒーを含めた全ての商品で厳選されたアラビカ種コーヒー豆を100%使用している点も特徴で、おいしさにこだわりカフェインレスレギュラーコーヒー市場を牽引している。
インテージSRI+の2018年~2021年(各年11‐10月)によると、同市場の2018年から21年の年平均成長率(CAGR)は17.9%で市場規模はレギュラーコーヒー市場の3%弱に相当する17億円弱。
レギュラーコーヒー市場と比べて規模は小さいものの「レギュラーコーヒー全体の18年からのCAGRが5.5%とされることから、カフェインレスレギュラーコーヒー市場が非常に拡大傾向にあることがわかる。特にコロナ禍以降、かなり顕著な市場の伸びがみられる」と語る。
カフェインレスレギュラーコーヒー市場のサブカテゴリーで最も勢いづいているのがワンドリップコーヒー(ドリップコーヒー)で、7割強の構成比を占め18‐21年のCAGRは20%。構成比は2割弱でありながらも18-21年のCAGRが23.6%と最も高い伸びをみせる袋入り粉(AP)とともに有望カテゴリーと位置付けている。
今回のリニューアルでは、“じっくり焙煎”を採用したほかパッケージに磨きをかけワンドリップコーヒーとボトルコーヒーの利便性を向上させた。
ワンドリップコーヒーには新たにお湯が注ぎやすい広口タイプのドリッパーを導入し、ボトルコーヒーには従来のスマイルボトルから“ハピネスボトル”に変更し、よりスリムになって持ちやすさと注ぎやすさを向上させた。
春夏コミュニケーションは“コーヒーが好き。だから選ぶ”をコピーに掲げ、おいしさやシーンをフックにコーヒー新規ユーザーに向けてアプローチを強化するとともに、コアターゲットの既存ユーザーにも施策を継続して展開して興味喚起を図る。
妊娠・授乳中の女性にも高く評価され、「たまひよ赤ちゃんグッズ大賞2023」ではカフェインコーヒー部門で3年連続第1位に選出。この事実をアイコン化して店頭販促に活用していく。
「最初に選んでいただけるカフェインレスコーヒーとしてしっかりブランディングしていく」と意欲をのぞかせる。
なおカフェインレスコーヒー市場については「家庭内でのコーヒーの飲用機会が増えたことによって、たとえば午後の一杯をカフェインレスに切り替えようといったマインドがあることとは消費者の定性調査からも感じ取っている。巣ごもりが弱まっても定着していくとみている」との見方を示す。