エナジードリンクなどのビタミン入り炭酸飲料とスポーツドリンクなどの止渇系飲料を組み合わせたサウナドリンクが人気を集めている。
近年のサウナブームが背景。
コロナ禍で生活環境が変わり心や身体を「ととのえたい」というニーズが増加している。
昨年にはサウナブームを巻き起こしたとされるドラマ「サ道」(テレビ東京系)の新シリーズが放映。サウナを活用して得られるリラックス状態を示す「ととのう」という言葉も流行し、第3次サウナブームが到来しているとも言われている。
こうした中、サウナドリンクで定番とされるのは、大塚製薬の炭酸栄養ドリンク「オロナミンCドリンク」と「ポカリスエット」を混ぜた「オロポ」。
SNSでは「ととのった」「意外においしい」といった好評の声が飛び交い、「ブルポ」(レッドブル×ポカリスエット)「キレポ」(キレートレモン×ポカリスエット)などメーカーの垣根を越えた動きもみられる。
このような動きについて、大塚製薬は「『オロポ』は当社公式ではないものの、サウナを中心に話題になっているようで数年前からよくお問合せをいただくようになった」と回答。
実際、数年前から「オロポ」を販売している「喜助の湯」(愛媛県、運営:キスケ)では近年になって引き合いが強まっているという。
「伊予の湯治場喜助の湯」(松山市)と「しまなみ温泉喜助の湯」(今治市)について、取材に応じた「しまなみ温泉喜助の湯」の土居成光サブマネージャーは「『オロポ』は松山、今治ともに多くのお客様にご愛顧いただいている。サウナドラマの放映後、サウナブームとともに売れるようになり今も好調に推移している」と語る。
「オロポ」販売好調を受けて、同社では「オロポ」を超えるドリンクを生み出すべく8月1日から9月30日にかけて「キスケS-1グランプリ」と題した企画を開催。全スタッフに商品提案を募集して集められた中から12種類のドリンクを販売している。
サウナ―の中で「オロポ」と並んで人気なのがコカ・コーラのスポーツドリンク「アクエリアス」とエネルギー飲料「リアルゴールド」を組み合わせた「アクリ」で、こちらも「オロポ」同様、コカ・コーラ非公式と思われる。
サウナドリンクの人気ぶりを受けて、今年に入りパッケージ製品化の動きも起こる。
サウナドリンクは、2種類のブランド・製品を組み合わせてつくられる。
この点を強調してネーミングしたと思われるのが、サントリー食品インターナショナルが7月5日からセブン&アイグループ限定で発売している「DEKARA(デカラ)」。
「デカラ」は「デカビタC」ブランドと「DAKARA(ダカラ)」ブランドがコラボした炭酸飲料で、開発にあたっては「『デカビタC』と『ダカラ』の2つのドリンクを温浴後に混ぜ合わせて飲むという飲み方が一部温浴施設内の飲食店で話題となっていることが分かり、この実態に着想を得た」(サントリー)。
炭酸飲料をベースにした点については「炭酸にすることで体に心地よく染みわたりココロもカラダも“ととのう気分”になれるよう設計している」と説明する。
これに対して、アサヒ飲料はスポーツドリンクをベースにした「スーパーH2O×ドデカミン」を8月16日から期間限定で発売する。
同商品もサウナドリンクの人気を受けて開発され、ハイポトニックスポーツウォーター「スーパーH2O」とエナジー炭酸飲料「ドデカミン」がコラボしたものとなる。
「スポーツドリンクに栄養ドリンクを混ぜたサウナドリンクが活動後の飲料として支持を得ており、“スポドリ機能”+“パワーチャージ”=パワーチャージできるスポーツドリンクを提案することで生活者のニーズを満たせると考えた」(アサヒ飲料)という。
非炭酸を選択した理由については「『スーパーH2O』の特徴である水分補給を考えた。カラダより低い浸透圧(ハイポトニック設計)のスポーツドリンクに軸足を置くことで、活動後にすばやい塩分・水分補給をしたい人のニーズによりお応えできると考えた」と説明する。
なお「デカラ」と「スーパーH2O×ドデカミン」はともにナトリウムを100mlあたり40~80mg含有する熱中症対策設計となっている。