ゼリー飲料市場がコロナ前の水準に回復 健康や女性の小腹みたしなど新たなニーズ開拓 夏場は凍らせる提案に広がり

 ゼリー飲料市場は各社好調に推移しコロナ禍前の2019年の水準に回復した。

 コロナ禍で人の動きが制限されたことによって失ったスポーツや移動、オフィスでの朝食代替などのシーンを取り戻しつつある上に健康や女性の小腹みたしなど新たなニーズを開拓し勢いを加速させている。

 シェアトップを握る森永製菓の「inゼリー」の前期(3月期)実績は金額ベースで前年比約20%増と過去最高の売上高を記録し、前々年比(19年4月~20月3月)でも2%程度のプラスとなった。

 前々年比プラスは、アイテム増が影響しているが、既存商品も概ねコロナ前の水準に戻りつつあるという。

 「コロナで苦戦していた看板アイテムの『エネルギー』がほぼほぼコロナ前の19年の状況に戻ってきている」と営業本部菓子食品営業部健康営業グループの中野一宏マネジャー述べる。

「inゼリー フルーツ食感」(森永製菓) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「inゼリー フルーツ食感」(森永製菓)

 新たなニーズとしては、在宅時間増加に伴い気分転換・ストレス解消目的での間食機会が増加していることに着目して昨年発売した「inゼリー フルーツ食感」で手応えをつかむ。

 今年は「フルーツ食感」の定着化に向けて、“罪悪感の少ないヘルシーな間食”の打ち出しを強めている。
多部未華子さんを起用したTVCMを新たに投下し、商品も女性層の購買喚起を促進すべくパッケージを刷新して果実のシズルを強化した。

 ハウスウェルネスフーズも嗜好性に着目して新ブランドに挑む。

 「ゼリー飲料では栄養成分を重視するユーザー以外にも、おいしさを重視するユーザーの存在がある」(ハウスウェルネスフーズ)との考えから「まるでスムージー」ブランドを立ち上げ、嗜好性がありながらも様々な栄養成分が補給できるゼリーとして「ベリーミックス&ピーチ味」と「パイン&フルーツミックス味」の2品を3月14日に新発売した。

「まるでスムージー」(ハウスウェルネスフーズ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「まるでスムージー」(ハウスウェルネスフーズ)

 同社の既存商品では「PERFECT VITAMIN 1日分のビタミンゼリー」が好調。前期(3月期)は18.1%増を記録し「ゼリー飲料は栄養成分補給目的のニーズの高まりが安定的な需要を支えている」との見方を示す。

 健康志向に対応して売上げを伸ばしているのはポッカサッポロフード&ビバレッジの「キレートレモンクエン酸2700ゼリー」で、20年の春・秋に機能性表示食品として発売して以降、“疲労感軽減”のヘルスクレームが受け入れられて好調に推移している。

 コカ・コーラシステムの「ミニッツメイド ぷるんぷるん Qoo」や「ミニッツメイド 朝バナナ ゼリー」などのゼリー飲料も好調。

「キレートレモンクエン酸2700ゼリー」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「キレートレモンクエン酸2700ゼリー」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
 
 「昨年から引き続き1-6月も好調で、今春から展開している『Qoo』『ミニッツメイド』の新キャンペーン展開もあり両ブランドとも前年比売上二桁増となっているほか市場全体の成長にも貢献している」(日本コカ・コーラ)という。

 新たなアプローチとして凍らせる提案も広がりつつある。

 コカ・コーラシステムは昨年、「アクエリアスゼリー」を新発売して、常温でゼリーとして凍らせてシャーベットとして楽しめることを提案している。

 これに対して、森永製菓はテスト展開を経て5月から「エネルギーフローズン」をスーパー・量販店で販売している。同商品は“冷凍なのにゼリー食感でおいしく暑さ対策”を謳ったもので「暑さ対策のレベルもさまざまで、カラダをすぐに冷やさないといけないシーンに凍ったゼリーの新食感でおいしく暑さ対策していただきたい」(森永製菓・中野氏)との思いが込められている。

左から「エネルギーフローズン」(森永製菓)と「C1000ビタミンレモン フローズンゼリー」(ハウスウェルネスフーズ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から「エネルギーフローズン」(森永製菓)と「C1000ビタミンレモン フローズンゼリー」(ハウスウェルネスフーズ)

 ハウスウェルネスフーズも凍らせたシャーベットとゼリーのような独特の“シャリぷるる食感”を謳った「C1000ビタミンレモン フローズンゼリー」を6月13日から数量限定発売している。

 なお、ゼリー飲料市場は4月から翌年3月の1年間の金額ベースで、前年比約15%増、前々年比約1%増の770億円と推定される。