「日清食品は“マーケティング力のある即席麺メーカー”というイメージだけでなく、クリエイティブとフードテックを駆使し、世界の食をリードしていけるような“FUTURE FOOD CREATOR”を目指す」。日清食品は今年、即席麺など既存事業の持続的成長に加え、新規事業の完全栄養食事業を本格化、既存事業と新規事業の“二刀流経営”に挑む。安藤徳隆社長が2022年の経営方針を語った。
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日清食品が社内スローガンとして掲げる「100年ブランドカンパニーへの挑戦」は、“今ある価値”の最大化だ。「カップヌードル」「チキンラーメン」といった主力ブランドを、さらに強力なブランドに育成し、100年経ってもフレッシュなブランドにしていく。「Beyond Instant Foods」は“今はまだない価値”の創造だ。完全栄養食プロジェクトでは、日清食品の持つ食のテクノロジーを活用し、新しい食文化を生み続けるような事業集団になっていくことをテーマと考えている。
既存事業について、2021年は、即席麺主要ブランド「カップヌードル」が発売50周年、「日清のどん兵衛」と「日清焼そばU.F.O.」が45周年という節目の年でもあり、カップ麺の復権に取り組んだ結果、「カップヌードル」は5期連続、「日清のどん兵衛」は7期連続での過去最高売上高を更新できる見込み。「日清焼そばU.F.O.」も圧倒的No.1ブランドに成長している。
2022年は付加価値型製品を充実させていく。昨年4月に発売した「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質」シリーズは、「カップヌードル」のおいしさそのままに、高たんぱく、低糖質というものが受け入れられ新規ユーザーを獲得。リピート率も高く、発売からわずか半年で年間販売目標数量を達成した。3月21日にシリーズの第3弾「チリトマトヌードル」を発売する。3月28日に発売する「日清の最強どん兵衛 きつねうどん」「日清の最強どん兵衛 かき揚げそば」は、麺、具材、だし、七味、すべてが主役、どれをとっても最強というプチ贅沢などん兵衛だ。袋麺も高付加価値型のラインアップを強化していく。
昨年5月、完全栄養食事業について発表した。日清食品がなぜ完全栄養食なのか、ということについて、日清食品が創業した当時は終戦後まもなく、日本はまだ食料も栄養も足りない飢餓状態だったが、時代は飢餓から飽食へと変わってきた。日清食品のミッションも時代に合わせて変わるべきなのではないか、飽食時代に日清食品が食を通して何ができるか。そういうことを考える中で完全栄養食というコンセプトが出てきた。日清食品が開発を進めている未来の完全栄養食は、カロリー、塩分、糖質、脂質などがコントロールされ、PFCバランスが整い、日本人の食事摂取基準で設定された33種類の栄養素をバランスよく全て摂取できるのが特徴。
完全栄養食は、5つのタッチポイントでビジネスを普及させていきたい。一つ目が定期宅配便(D2C)。短期集中プログラムで未病対策をしていく。二つ目は外食パートナーと組んだ社員食堂ビジネス。三つ目は、フレイルを防ぐシニア向けの完全栄養食の開発。四つ目はコンビニエンスストアやスーパーマーケットで販売する惣菜、冷食、インスタントフード。2022年度中にはこうしたビジネスを次々に開始し、五つ目のタッチポイントとしてとしてスマートシティ構想も進める。
ファーストステップは、パッケージフードによる完全栄養食の普及。5年、10年先になると思うが、セカンドステップとして、パーソナライズ化された完全栄養食の普及、スマートシティ構想などに取り組む。“♯日本を未病対策先進国へ”をタグラインに、自治体、外食、給食業者、病院といったパートナーとともに、日本を未病対策先進国にしていく。