伊藤園の「お~いお茶 プレミアムティーバッグ」シリーズでは、底の深い湯呑みやマグカップなどに対応できるよう採用している長いヒモは、生産現場が発案した特許技術となる。
開発を主導した伊藤園ティーファクトリーの梶山勝久第一製造部部長は、5月15日、静岡第一工場(静岡県牧之原市)で清飲記者会の視察取材会に応じ「開発から約10年経つ。海外向けティーバッグ製品を発売したときに、海外ではマグカップで飲む文化があり、ヒモの短さが課題となった。どのようにしたら長いヒモで安定した製品ができるかを考え、機械づくりから取り掛かった」と振り返る。
研究を重ねた結果、辿り着いたのが、ティーバッグの持ち手にヒモを畳むように折り曲げて収納する方法。専用機械を独自に開発して、三角ティーバッグの包み方とヒモの折り方で特許と海外特許を取得した。

長いヒモの導入によりマグカップほか500mlの水筒にも対応している。
三角ティーバッグは、ナイロンメッシュフィルターを採用し「ティーバッグの中の空間が広くなることで、お茶の葉が上下にジャンプしながら広がり抽出が早く、本来のお茶の味・色・香りがより引き出せる」のが特徴。
静岡第一工場には、1分間に最大100個の三角ティーバッグを製造できる包装機を導入している。
2023年9月には、ティーバッグを個包装するエンベロープと呼ばれる袋の紙化を実現。
従来のプラスチック素材(アルミ溶着シート)から紙素材に変更するとともに、外装(箱)の大きさをコンパクト化して環境負荷を低減し社会の要請に合わせて進化を遂げた。
密封性と両立し、賞味期間は変更前と同様の12カ月を担保。
「バリア性を研究するのに時間を要した。普通にやると、お茶は湿度と温度と光で劣化してしまう。エンベロープに窒素を充填して酸素を極力減らすなどの工夫を施した」と説明する。

「お~いお茶」シリーズのティーバッグでは、2020年に最新式高速包装機を導入して1分間に300個のティーバッグを製造。
高速回転包装により、噛みこみ(ティーバッグの破れ・ズレ)が発生しやすくなることに対しては、10分に1回、包装機担当者が製造ラインからティーバッグ2個を取り検査しているほか、X線検査装置を導入して1包ずつ中身・見た目・重さの検査を行っている。
ティーバッグは環境に配慮した設計になっており、ティーバッグ設計を紙から生分解性素材に変更し、抽出性を向上させるとともにプラスチック使用量を削減。
そのほか、ティーバッグ構造をダブルチャンバーからシングルチャンバーに変更しフィルター使用量を従来品の約50%削減。エンベロープは「お~いお茶 プレミアムティーバッグ」に先立ちプラスチック素材から紙素材にした。
伊藤園ティーファクトリーは、伊藤園グループ全体のリーフ製造事業を担う中核会社で、ティーバッグなどの簡便性製品の製造が約9割を占める。ティーバッグの年間製造個数は約19億個で推移している。製造品目はティーバッグを中心に約60品目に上る。

