11.3 C
Tokyo
9.9 C
Osaka
2025 / 12 / 22 月曜日
ログイン
English
飲料系飲料アサヒ、牛乳風の酵母飲料を開発 「乳アレルギーを克服しようと頑張るお子さんの姿」が開発背景

アサヒ、牛乳風の酵母飲料を開発 「乳アレルギーを克服しようと頑張るお子さんの姿」が開発背景

 アサヒグループジャパンは、牛乳風の酵母飲料を開発した。

 食物アレルギーの問題が開発の背景。

 「『第一回こどもアレルギー学会』で、乳アレルギーを克服しようと頑張るお子さんの姿に感銘を受け、アレルギーがある方に商品を提供できないかと考えた」と語るのは、4月16日に新商品発表会に登壇したアサヒグループジャパンのFuture Creation Headquartersの畠徳望博氏。

 畠氏は外部データを引き「食物アレルギーは年々増加傾向にあり、その原因物質の2位が乳。乳は様々な食品に含まれているため食事の制限が多く、『子どもが牛乳を飲んだり、ソフトクリームやお菓子を食べたりする姿を見たい』と望むご家族も多い」と説明する。

 こうしたニーズを受け、アサヒビールをはじめとするアサヒグループが持つ酵母の知見を活かし、アレルギー特定原材料等(28品目)を不使用の酵母由来の非動物性ミルク「LIKE MILK(ライクミルク)」を開発した。

左からアサヒグループ食品の野澤清史氏、アサヒグループジャパンの畠徳望博氏、アサヒグループジャパン兼アサヒグループ食品の蓮見麻美氏
左からアサヒグループ食品の野澤清史氏、アサヒグループジャパンの畠徳望博氏、アサヒグループジャパン兼アサヒグループ食品の蓮見麻美氏

 同商品は牛乳と比べて同程度のたんぱく質を持ちながら、脂質は38%少なく、食物繊維・亜鉛は豊富に含んでいる。
カルシウムも牛乳と同等以上有している。

 培養酵母を酵母細胞壁と酵母エキスに分け、酵母細胞壁から乳化作用を持つ酵母素材を作ることで、ミルクのような質感を生み出しているのも特徴。

 参入障壁は、乳化作用を持つ酵母素材を作る際にアサヒ独自の技術を活用している点や、味覚設計で見込む。

 味わいは、豆乳などの植物性ミルクと比較してクセが少なく、飲みやすく仕立てている。

 アサヒグループ食品の研究開発本部商品開発四部の野澤清史氏は「乳のようなコクやまろやかさを実現する、調香・調味に苦労した」と振り返る。

 同社のFuture Creation Headquarters兼アサヒグループ食品の長期戦略事業本部長期戦略推進室担当部長の蓮見麻美氏は「酵母は素材が持つ呈味を強化するエンハンス機能など豊富なポテンシャルがある。世界的なたんぱく質の供給不足が予測される中、酵母由来のたんぱく質は、動物性原料やアレルギー特定原材料等が不使用のたんぱく質として期待が高まっている」との見方を示す。

「LIKE MILK」と調理例
「LIKE MILK」と調理例

 ターゲットは、乳アレルギーでカルシウム不足になりやすい人や、料理などにも使用できるため、乳糖不耐の人や動物性原料を控える人、栄養摂取を気にする人など幅広く設定する。

 需要やユーザーの反応を確認するため、「ライクミルク」は4月16日から6月15日まで応援購入サービス「Makuake」でテスト販売を実施。現在は200ml紙パックのみ販売し、今年中に1000ml紙パックもテスト販売を行う方針。2026年には全国発売を予定する。

 「ライクミルク」を筆頭に、今後も「LIKE」ブランドで酵母を活用した商品を展開予定となっている。飲料以外に食品の展開も視野に入れる。

 畠氏は「アサヒの独自素材である酵母の活用を通して多様な食を提供し、アレルギーなどの体質、ヴィーガンなどの思想、脂質などを気にする嗜好を問わずに、誰もが食を楽しめるフードダイバーシティを実現したい」との青写真を描く。

 今後は試飲によって商品認知拡大を図る。

 4月20日に東京、27日に京都、5月11日に名古屋で開催される「ビーガングルメ祭り2025」と、5月24日に大阪で開催される「第2回こどもアレルギー学会」で試飲を予定している。

関連記事

インタビュー特集

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。