アサヒグループジャパンは、牛乳風の酵母飲料を開発した。
食物アレルギーの問題が開発の背景。
「『第一回こどもアレルギー学会』で、乳アレルギーを克服しようと頑張るお子さんの姿に感銘を受け、アレルギーがある方に商品を提供できないかと考えた」と語るのは、4月16日に新商品発表会に登壇したアサヒグループジャパンのFuture Creation Headquartersの畠徳望博氏。
畠氏は外部データを引き「食物アレルギーは年々増加傾向にあり、その原因物質の2位が乳。乳は様々な食品に含まれているため食事の制限が多く、『子どもが牛乳を飲んだり、ソフトクリームやお菓子を食べたりする姿を見たい』と望むご家族も多い」と説明する。
こうしたニーズを受け、アサヒビールをはじめとするアサヒグループが持つ酵母の知見を活かし、アレルギー特定原材料等(28品目)を不使用の酵母由来の非動物性ミルク「LIKE MILK(ライクミルク)」を開発した。

同商品は牛乳と比べて同程度のたんぱく質を持ちながら、脂質は38%少なく、食物繊維・亜鉛は豊富に含んでいる。
カルシウムも牛乳と同等以上有している。
培養酵母を酵母細胞壁と酵母エキスに分け、酵母細胞壁から乳化作用を持つ酵母素材を作ることで、ミルクのような質感を生み出しているのも特徴。
参入障壁は、乳化作用を持つ酵母素材を作る際にアサヒ独自の技術を活用している点や、味覚設計で見込む。
味わいは、豆乳などの植物性ミルクと比較してクセが少なく、飲みやすく仕立てている。
アサヒグループ食品の研究開発本部商品開発四部の野澤清史氏は「乳のようなコクやまろやかさを実現する、調香・調味に苦労した」と振り返る。
同社のFuture Creation Headquarters兼アサヒグループ食品の長期戦略事業本部長期戦略推進室担当部長の蓮見麻美氏は「酵母は素材が持つ呈味を強化するエンハンス機能など豊富なポテンシャルがある。世界的なたんぱく質の供給不足が予測される中、酵母由来のたんぱく質は、動物性原料やアレルギー特定原材料等が不使用のたんぱく質として期待が高まっている」との見方を示す。

ターゲットは、乳アレルギーでカルシウム不足になりやすい人や、料理などにも使用できるため、乳糖不耐の人や動物性原料を控える人、栄養摂取を気にする人など幅広く設定する。
需要やユーザーの反応を確認するため、「ライクミルク」は4月16日から6月15日まで応援購入サービス「Makuake」でテスト販売を実施。現在は200ml紙パックのみ販売し、今年中に1000ml紙パックもテスト販売を行う方針。2026年には全国発売を予定する。
「ライクミルク」を筆頭に、今後も「LIKE」ブランドで酵母を活用した商品を展開予定となっている。飲料以外に食品の展開も視野に入れる。
畠氏は「アサヒの独自素材である酵母の活用を通して多様な食を提供し、アレルギーなどの体質、ヴィーガンなどの思想、脂質などを気にする嗜好を問わずに、誰もが食を楽しめるフードダイバーシティを実現したい」との青写真を描く。
今後は試飲によって商品認知拡大を図る。
4月20日に東京、27日に京都、5月11日に名古屋で開催される「ビーガングルメ祭り2025」と、5月24日に大阪で開催される「第2回こどもアレルギー学会」で試飲を予定している。
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