国分グループ本社の24年度決算は4期連続の増収増益を達成した。國分晃社長兼COOは「第10次長計の卸基盤再構築、11次長計では食のマーケティングカンパニーの進化、共創圏の確立を掲げ、卸の利益はこのくらいという思い込みを突き破り、食のバリューチェーンでより幅広い価値を獲得する力を得た」と手応えを示した。
25年度は「第11次長計を仕上げる。もう一度ゼロベースでこれからを考える」をグループ冠方針に、長計の完遂を目指す。環境や物流問題、地域共創、食のアクセス確保など、製配販連携による社会課題解決の取り組みも加速させる。
24年度連結業績は売上高2兆1573億円(前年比4.3%増)、経常利益273億9600万円(13.2%増)、当期利益174億4800万円(9.9%増)。売上高、利益とも過去最高を更新した。
売上高の内訳は、食品1兆4181億円(4.8%増)、酒類6416億円(2.8%増)、その他975億円(6.4%増)。食品は加工食品8926億円(2.9%増)、冷凍・チルド4671億円(8.2%増)、菓子582億円(8.9%増)。価格改定効果もあり全カテゴリーで増収。低温の伸びも目立った。
國分勘兵衛会長兼CEOは「原材料コストや物流問題、深刻化する人手不足で商品価格が継続して値上がりし、節約志向の動きが高まり、米価格高騰でより顕著となった。生活者ニーズを満たす低価格、PB商品と同時に付加価値商品も売れる二極化傾向が進んでいる」と語った。
そのうえで、国分グループが取り扱う60万アイテム・3万5000社との取引から得られる日々の情報をAIにより暗黙知を形式知に見える化、営業現場で実践知として活用する「食の価値創造の実践と循環」やDXを活用した業務改革、流通の新たな価値を提供する共創圏パートナーとの取り組みが着実に広がっていると評価した。
25年度の経営方針では、11次長計で掲げた4つの価値創造目標(顧客満足度引き上げ、共創圏の確立、コト売り比率引き上げ、仕事における幸福度向上)に注力、「食のマーケティングカンパニーの進化~共創圏の確立~」の完遂を目指す。
國分晃社長は「次期長計につながる大事な1年。過去の成功体験にとらわれることなく、ゼロベースでこれからを考えていく。グループ全従業員が価値創造業務により一層注力できるパワーシフトを実現する」と語った。
基本方針では、11次長計の完遂、食の価値創造の実践と循環、共創圏パートナーとの価値創造活動の加速、地域共創ビジネスモデルの確立、値上げへの対応と卸マージン確保・コスト管理に取り組む。コト売りによる役務収益の増額と赤字事業所の撲滅も推進。人口減少が加速するなか、商圏ボリューム確保の可能性判断や、回復が見込めない事業の見極めを進める考えも示した。
なお長計最終年度となる25年度の定量目標は経常利益286億円(前期比4.3%増)。